今回は「子どもへの解熱薬の使い方」という非医療者向けテーマです。
非医療者の方でも参考になるよう、普段自分が病院で説明する内容を文字にしています。
このテーマを選んだきっかけは、自分の息子が発熱した際に妻(非医療者)から説明を求められたためです。
「この内容を記事にしてくれたら、参考になると思うよ!」と背中を押してもらい、せかせかと書いております。
実は医療者でも考え方が色々あって、とっっっても奥深い課題なんです。
だからこそ病院で医師に聞いても、スッキリした答えが返ってこないんですよね。
先に自分が解熱薬を使うタイミングを書いておくと、以下の2パターンです。
①熱のせいで困っている
ご飯を食べられない、眠れない、機嫌が悪すぎるなど。
②あまりにも高熱!
自分の子供には、39度を超えたら使うようにしています。
就寝前なら、もう少し低くても飲ませます。
さて細かい内容を解説していきましょう!
熱を出すのはどうして?
そもそも熱があるのって悪いことなんでしょうか?
例えば「布団でぐるぐる巻きにして、汗をかいて風邪を治す!」なんて聞いたことありませんか?
最近は聞かないかもしれませんが、自分が子供の頃は当たり前でした。
これって根拠がなさそうに見えて、案外バカにできません。
人間の体には生まれつき免疫という、外からの細菌に対抗する力があります。
程よい発熱(程よい、が大事です)は、この免疫系の力を大きく飛躍させてくれます。
皆さんもいきなり39度くらい熱が出て倒れ込むように寝たけど、意外と翌日スッキリしてた。。。みたいな経験ありませんか?
逆に微熱なんだけど、ダラダラ1週間くらい調子悪い。。。みたいなこともありますよね。
これはまさに体の持てる免疫をフルに使えているかどうかの違いです。
マラリアに感染させてノーベル賞を受賞?!
ヤウレック先生という有名な精神科医の先生がいました。
彼は1927年に素晴らしい功績により、精神科医として史上初めてのノーベル生理学・医学賞を受賞されました。
彼は神経梅毒という当時は絶望的とされた病気に対する治療法を提案したのです。
さあ、どんな治療でしょうか?
画期的な新しい薬を作ったわけでも、予防策を生み出したわけでもありません。
なんと彼は「あえて神経梅毒の患者をマラリアに感染させた」のです。
今の時代では信じられないことですね!
実は当時マラリアに対しては治療薬がありました。
ヤウレック先生の作戦は以下の流れです。
①治療法の分からない神経梅毒の患者がいるぞ、困った
②そうだ、マラリアに感染させて熱を出そう
③いいぞ、40度くらいになった!
④そろそろマラリアは治療薬で治すか
⑤よし、なんか神経梅毒も良くなっている!
・・・にわかには信じがたいですね。
これは当時は分かっていなかったことですが、神経梅毒の原因は梅毒という細菌でした。
そして熱を上げて体の免疫をフル稼働することで、この梅毒を倒すことを狙ったのです。
もちろん今では神経梅毒の治療薬は見つかっていますので、こんなことはしませんが非常に画期的ですね!
(ちなみに梅毒の治療薬は漫画JIN-仁-に出てくるペニシリンです。)
熱を下げるメリットとデメリット
では熱は高ければ高いほど良いのでしょうか?
実はそんなこともなく、あまりに高熱すぎても免疫系も頑張りきれなくなります。
研究によっては38.5度くらいからは、予後を悪くしているかも?なんてものもあります。
大人だって熱が高すぎる時は食事も取れないし、寝ることもできませんよね。
うちの子供は夜間に発熱した際に暴れすぎて肘内障(肘の靭帯が少し脱臼する状態です)になり、さらに泣き叫んでいたこともありました。。。
そんな二次災害を防ぐ意味でも個人的には39度以上の高熱にしておくメリットはないかな〜と思っています。
逆に言えば38度くらいの時には「よしよし、免疫系頑張ってくれ!」みたいな気持ちで見守る気持ちでいます。
熱性けいれんって?
子供の発熱を語る上で避けて通れないのが、熱性けいれんです。
非常に予後が良く自然に止まることがほとんどですが、自分の子供がけいれんしたらビックリしますよね。
そして予後が良いとは言っても止まらないこともあり得ます。
ですので我々医療者であっても、家庭でけいれんが起きたら迷わず救急車を呼びます。
でも仮に後遺症が無いとしても、わざわざ救急車呼んで病院に行くのって辛いですよね。
一方で熱性けいれんになってしまった子供たちに解熱薬を使うかは、意外と答えがありません。
感覚的には再発を防げそうですが、また熱が上がってくるタイミングでけいれんするかもですしメリットがあるのか実は分かっていないのです。
ただメカニズムを考えれば熱が原因なのは間違いありませんし、個人的にはメリットの少ない高熱は下げてしまっても良いのかな〜と考えています。
子供と大人で違うの?
子供が熱を出す原因ってなんでしょうか。
ほとんどがウイルスによる感染症(いわゆる風邪とか)だと思います。
ですので治療薬は無いことが多く、自分の免疫で打ち勝つしかありません。
大人の熱にはいろんな原因があり、しかも熱を出したことでけいれんすることはかなりレアです。
もちろん厳密には大人でも発熱がまずい人もいるのですが、ごく稀です。
そのため大人の場合であれば自分は解熱薬はなかなか投与しないです。
なので自分の発熱でも寝れない時以外は飲まないですね。
もちろん本人が辛いとか、食べられないとかの理由であれば迷わず使いますよ!
終わりに
いかがだったでしょうか。
我が子が熱で苦しそうにしている姿、見るに耐えませんよね。
自分の息子は小児喘息もあるので、特にゼーゼーしてしまい毎回本当に苦しそうです。
熱は子供にとっての唯一の武器、ではありますが、そのせいで休めなくなっては本末転倒です。
熱性けいれんのリスクなども考えて、自宅では適宜解熱薬を使いながら様子を見ています。
ただし子供の発熱を甘く見てはいけません。
一部の病気は不用意に熱を下げると見逃してしまうので、数日経っても改善が無ければ自分もすぐに病院へ連れて行くことを考えます。
有名どころはおしっこの感染症や川崎病といったところでしょうか。
今回の記事を参考にしつつ、迷った時は必ず病院受診するようにしてくださいね。
少しでも参考になれば嬉しいです、ではでは。

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