心停止が蘇生した!・・・どうする??

まとめ

今回は院内発生の心停止が続いたので、その際の対応について少し話そうと思います。

とは言っても蘇生行為自体については扱いません。

むしろ蘇生行為により自己心拍が再開(return of spontaneous circulation:ROSC)した後にどうするか、というお話です。

これは院内の研修医の先生たちに相談されて作った内容になります。

実際、蘇生中って慣れてくると簡単というか単純です。

できることが限られているので、場合によっては少人数でも出来てしまうこともあります。

一方でROSCすると話が変わり、一気にやることや考えることが増えます。

自分も昔は内心で「ROSCしちゃった!」と焦った経験もあります。

もちろん不謹慎なんですが、若手からするととっても慌てる瞬間の一つですね。

そこでROSC後の3つの掟というタイトルで、どのようなポイントに注意すべきかまとめてみようと思います。

ABC評価

こーゆー時の鉄板で耳タコという声も聞こえてきそうですが、それくらい常に大事です。

決してROSCしたからといって大丈夫なわけではなく、ABCが管理されていないと再度の心停止が待っています。

まずはAirway:気道ですが、これはすぐに致死的になります。

正直、ほぼ全てのCPAはROSCしてもABC異常あるので、まずは吸引して補助換気することになると思います。

そしてBreathing:呼吸も同様です。

酸素化不良も多いですし、あとは循環不全(そりゃCPAだったので当然です)の影響で乳酸貯留して、代償性の頻呼吸になります。

その呼吸の仕事量に耐えられない人やそもそも代償できていないことがほとんど(全てと言っても良いかも)なので、こちらの意味でも補助換気は普通は必須です。

Circulation:循環についても、多くはショックバイタルです。

見かけ上は血圧があったとしても、内因性のカテコラミンが出ているだけのことが多く全例がショックと思って問題ありません。

確かにVF/pulseless VTなどで、短時間でROSCした場合は「本当に心停止したの?」ってくらいケロッとしていることもあります。

あるいは脳出血などでむしろ血圧異常高値になる症例もあります。

これらの場合は不要ですが、そうでなければ基本は血管麻痺(vasoplegia)をきたすので、少量で良いからノルアドレナリンを開始しておくことをお勧めします。

またA/Vシースを大腿動静脈に入れるかどうか問題です。

答えとしては「血管内操作が必要になるか」に尽きると思います。

ECMOの可能性があるなら、当然入れるべきですし単なるAラインとしてであれば入れるべきではありません。

Aラインが欲しければシースではなく細いアーテリアルキットなどで十分です。

余計な太いものを入れることで、抜去後の合併症(仮性瘤など)リスクを上げることに繋がります。

ルーチンではなくきちんと思考が必要でしょう。

また静脈路として入れる、という声も聞きましたが誤りです。

シースはあくまでワイヤーを上げるためだけのデバイスです。

ルートは1ルートしかないので、そこに期待していません。

ラインが欲しくて末梢静脈路が難しければ、ブラッドアクセス(透析用カテ)がお勧めです。

太いので輸液負荷もすぐに入りますし、とても便利ですね。

原因検索+再発予防

こちらも非常に重要です。

当然ですが原因がなければ心停止になりませんので、そちらを探し介入する必要があります。

有名な原因に6H6Tがあります。

AHAのコースではPEAの時に特に強調されますが、別にShockable波形のとき(VF/pulseless VT)でも意識して良いと思います。

また蘇生後の検査のフローですが、私見は上の通りです。

ポイントは内因性の時には速やかにeCAGの必要性を検討することですね。

では肝心のeCAGの適応はこれで良いでしょうか?

今時の先生に見せたら、呆れられてしまうかもしれません。。。笑

以前は初期波形でeCAGの適応が左右されていましたが、だんだんと変わりつつあります。

おそらく多くの施設では単純に蘇生後の心電図でSTEがあるかどうかになっているのではないでしょうか。

もちろん病歴や他の検査所見から強く疑うならその限りではありませんが。

脱線しますが、Creが高い時には造影CT撮っても良いのでしょうか?

例えばこのような症例でどう対応しますか?

強くSAHを疑う状況で、妊娠を理由にCTを拒否する場合です。

このような時に感情論で攻めるのは良くありません。

むしろその感情は大事に尊重されるべきものです。

そしてその感情を理解した上で、医学的事実を提示する必要があります。

今回でいえば、ほとんど被爆のデメリットはありません。

歩けるようなgood grade SAHの可能性がある以上、CTを撮らずにSAHを見逃すことの損失は途方もなく大きいですよね。

造影剤も同じです。

必要があるなら、使うしかありません。

そもそもeCAGで造影剤を使うことには抵抗ないのに、なぜCTだけ必要以上に嫌がるのかが分かりませんが。

そして造影CTを撮る理由です。

これらに該当しなければ不要ですが、シンプルなACSとかでなければ撮ることになる場合が多いと思います。

もちろん不要なら撮像しませんが。

ICU管理

まず大原則は72時間後が基本の評価タイミングになります。

その間にM6が入れば卒業で、予後良好群になります。

一方で予後判定時に2項目以上で該当してしまった場合には、予後不良群と言われます。

この場合には覚醒することは絶望的と言って良いでしょう。

そして大抵はここになるのですが、どちらにも当てはまらない「なんとも・・・」な群もあります。

この場合は損傷の度合いに応じて多職種カンファを行い、最適なゴールを模索していきます。


さていかがだったでしょうか。

非常にシンプルではありますが、ROSCした後の管理についてまとめてみました。

是非質問などありましたら、コメント欄でお願いいたします!

本日はこの辺で、ではでは。

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