上級看護師の違い(NP、認定看護師、特定看護師etc)

まとめ

今回はいわゆる「出来ナース」(優秀なナースの意味です、念の為)がたどるいくつかのキャリアについて話していこうと思います。

〇〇看護師、って呼ばれるものがいくつかありますが、非常にややこしいですよね。

恥ずかしながら自分もよく分かっておらず、今メッカに近い西日本に住んでいるので直接聞いた話を含めて文章にしようと思います。

診療看護師(NP, Nurse Practitioner)

いわゆるNPさんですね。

海外(特にアメリカ)では、ほぼ医師と遜色ない独立した診療権を持っています。

ハードルが高くなる診察、診断、処方なども可能とされている国もあるそうです。

日本においては取得のためには

・看護師として5年以上の実務経験あり

・大学院修士課程を修了

・NP資格認定試験に合格

と少しハードル高めです。

そして日本において出来ることは、かなり幅がありそうです。

「代行入力」という形で処方も医師の指示で行うことも出来ます。

診断は本当はダメですが、若手医師よりよっぽど賢いので診断を耳打ちしてくれる人もいますね。

この辺は制度の整備がまだ追いついていない印象を受けます。

もっと裁量権が与えられて良い立場な気もしますが、NPさんの力量にもよるので一律には危ないですかね。

確かに医者と同じ判断できるようにするなら、医師国試に準じたレベルで知識が無ければいけないはずなので。

NP学会はもっと存在感を出していけるように訴えかけているようです。

あとNPさんが機能するかどうかは所属にもよるところが大きいみたいですね。

診療部所属(医者と一緒)にすると、やはり動きやすいようです。

一方で看護部所属(看護師と一緒)にすると、看護部上層部の頭が硬いので苦しそうにしていることを見てきました。

ぜひ制度を整え診療部所属として、医者に近い扱いにして欲しいところですね。

なおハワイでは独立して開業し診療所を持ち、普通に診療しているNPもいるそうです。

ここまでの裁量はまだ難しいかもですが、ぜひ優秀なNPさんにはこれくらい診療を行える環境ができるといいな、とも思います。

現状の日本では矛盾をはらんだ概念で、「医師の独占業務である診療」ができないのに「診療看護師」という名称の時点でおかしいですよね。

これから一番扱いが変わっていくであろう、複雑な立ち位置だと思います。

認定看護師(CN, Certified Nurse)

特定の看護分野において熟練した技術と知識をもつ看護師とされます。

現行は21分野ですが、2026年度からは統合され19分野になるようです。

こちらは日本独自の概念のようで、海外では該当するものがありません。

取得のためには

・看護師として5年以上の実務研修(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)あり

・認定看護師教育機関の課程を修了

・認定看護師認定審査(筆記試験含む)

となります。

看護部に所属していることが多く、あまり医師側には回らないらしいです。

とにかく臨床現場が好きな人多いので、プロトコルとか、看護師教育の方に力を入れることが多いです。

専門看護師ではなくこっち!となり、かなり増えてきた印象です。

ですが今までここを目指していた臨床好きな人たちが、今後はNPにシフトしていくのかもしれません。

ただプロに言わせると「Cure」から「Care」に繋げるという点で看護師としての業務に誇りを持っており、必ずしもNPに劣るわけではありません。

恥ずかしながら自分はNPが上位互換と思っていました。

ただそれは誤りでした。

日本のNPの裁量が小さいため、役割が被って見えていたからでしょう。

別に医師の業務を代行することが偉いわけではないので、将来的にはNPとうまく共存して立ち位置の違いが明確になると良いですね。

専門看護師(CNS, Certified Nurse Specialist)

海外の上級看護師(APRN, Advanced practice registered nurse)を参考に日本で導入したそうです。

しかし大学院に行く必要もあり、日本では流行りませんでした。

取得のためには

・看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得している or 

看護師として5年以上の実務研修(うち3年以上は専門看護分野の実務研修)あり

・認定審査(書類審査と筆記試験)

となります。

特徴としては概ね認定看護師に重なりますが、少し実務経験の扱いが低めになっています。

どちらかというと、研究職だったり看護教育とかの方に力を入れたい人が集まってくるそうです。

なので、そこが現場ではあまり出会わない理由の一つかもしれませんね。

特定看護師

こちらは比較的わかりやすいですね。

2015年に始まったばかりで歴史は浅いですが、とにかく手技に関しての資格です。

Aライン留置やCV抜去、呼吸器設定変更などの38行為を特定行為研修することで、看護師が出来るようになります。

医者としてはいてくれると大変助かります。

地味に細かい作業で呼ばれると、大事な作業が進まないことってよくあるので。

ただ沖縄とかの過激な(笑)方々に言わせると、以前は医者指示があれば出来ることの範疇だったので資格にして囲ってしまうのはどうなの?という意見もあるようです。

確かに考えたことありませんでしたが、尿道カテーテル留置や静脈路確保もしてくれない病院も過去にありました。

あまりに囲ってしまうと、逆に一般看護師の手技はどんどん絞られていくのかもしれません。

特定行為は特定看護師、それ以外は全て医者、みたいな。

それは本末転倒ですね、言われるまで全く気付きませんでした。

実は「カテコラミン投与量の調整」って含まれているんですが、これも特定行為研修していない看護師だけでは触れなくなっていくのかもしれませんね。。。

本来は医師の指示が事前にあれば変更してもらって良いのですが、「特定持ってないからできません!」なんて言われる日が来ないか心配です。


いかがだったでしょうか。

タスクシフトの観点からもコメディカルに裁量権を与えるのは素晴らしいことだと思います。

正直その辺の医者より優秀なコメディカルなんて星の数ほどいますから。。。笑

しかし現在は色々と訴訟とかがうるさいため、余計な縛りが増えてしまっていることも指摘されています。

特に田舎ですが今までは医者いないので、セルフタスクシフトしていたのだと思います。

それがこうやってきちんとルール化された時、そのレールに乗れるのかどうか。

非常に難しく制度も整っていない分野ではありますが、今後の医療を考えると避けては通れない問題だと思います。

詳しくはこちらの書籍にもまとまっていますので、ぜひご参照ください。

最後にまとめの表を作ってみました。

誤りなどあればご指摘ください。

本日はこの辺で。

ではでは。

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