「理想の医師」とキャリアプランについて考える

まとめ

今回は自分の考える「理想の医師」とキャリアプランについて話していこうと思います。

壮大なテーマですが、人生観に関わる重大な内容です。

避けては通れない議論ですよね。

最近ドラマも話題ですが、理想の医師像とはなんでしょうか。

自分の思う三つのポイントは教育・臨床・研究です。

教育

まず教育ですが、なぜ大事なのでしょうか。

書ききれないくらいの理由がありますが、おおまかに言えばこれらです。

自分の思考を共有することで自分自身が学びにもなりますし、何より組織としての共通認識ができるので非常に働きやすくなります。

自分も先日、経皮ペーシングの方法を実際にレクチャーしたところ、翌日に処置が必要な症例が発生しました。

その際には自分は心臓血管外科術後の心停止という超特殊な状況だったので、リーダーに専念せねばならず指示を出していました。

そこで前日に指導した研修医がいたので、安心して任せることができ無事に救命に繋げることができました。

これは指導が明確に生きた症例かと自負しています。

また教えることそのものが非常に良い学びになります。

初学者に分かりやすく伝えるのって難しいです。

昨今は働き方改革もあり、時間外労働には世の中がうるさくなってきています。

そのため勤務の合間に効率よく、ポイントを絞ったレクチャーをする必要があります。

「To teach is To learn twice.」という言葉を残したフランスの作家がいますが、本当に言い得て妙です。

教えること自体が、自分にとっても大きな学びになります。

聞いてもらえるうちが花と思い、感謝しながらレクチャーしています。

臨床

臨床も当然柱になる項目です。

普段のICU診療では、ICUを退室させることを目標とすれば良いでしょうか。

自分は違うと思っています。

重要なのは「最速での」退室ではないでしょうか。

ICUにおいて1日何も起きないのは、停滞です。

もちろん本人の状態が良くなるのを待つしかないフェーズなら仕方ないですが、ただ漫然と過ごすのは後退に近いと思います。

なぜならそれだけの医療資源を注ぎ込んでおきながら、患者を動かさず廃用を進めることになるからです。

自分は何かデバイスを入れる時には、その時点で抜去や離脱を考える癖をつけるようにしています。

1日でも早く抜くことが離床や感染などの合併症予防に繋がると信じているからです。

また血圧下がったからノルアドレナリン、頻脈だからオノアクトといった数字合わせの薬剤管理は大嫌いです。

全く本質を捉えていない、ただの姑息的なその場しのぎの対応に過ぎないからです。

あとはopenだったりsemi closedの時に現れる「主科に丸投げ」する集中治療医も違うと思っています。

最終確認は大事ですが、自分たちの介入でその判断の質が上がるように努力すべきではないでしょうか。

一方でICUは多くの誤解を生んでいます。

入室したらもう良くならないのではないか。

挿管や透析されたら、もう離脱できないのではないか。

・・・などです。

もちろんその場合もありますが、きちんとした集中治療医が見れば多くは抜管し透析も離脱できている印象です。

むしろ粘って悪くなってからの方が状況苦しいので、早めに院内の集中治療医にご相談ください。

ということで、これらにこだわっている姿勢や背中を見せることで若手にとっても良い刺激になる、、、と信じています。

研究

一方で研究ですが、こちらは自分の一番の弱点です。

誰もが持つようなこんな悩みはあるのですが、なかなか形に昇華させられずにいます。

そんなこともあり東大SPHへの進学を決めた経緯もあるので、来年度より頑張って勉強してこようと思います。

本当の理想って?

では理想の医師とはなんでしょうか。

これらの3つが全て完璧にできることでしょうか。

自分が若手にしている大事な問いかけです。

なぜ医師になったのか、どうして医師として働くのかを考えてほしいと思います。

こちらは自分が好きな医師国家試験の問題です。

解答はdで、正答率は65%でした。

いくら子供が大事でも、自分の体に危険が及ぶなら本末転倒なのです。

子供を救うためにも、まず自分の安全が最優先です。

たまにドラマで自分の安全を省みず、危険な現場に飛び込む演出あります。

あれはかっこいいけど、ダメですよね。

その力で救うべき人がたくさんいるはずなので、自分の身を投げ打ってはいけない。

救急医学会も同様の声明を出しています。

(実現できているかは別として!)

つまり医師としてのキャリアの理想は上に挙げた3本柱だと思います。

ですがその前に自分自身の人生が充実していることを考えるべきです。

いくら優れた医療を行い論文を書いていたとしても、忙しすぎて家族に逃げられてしまったらどうでしょうか。

それでも幸せなら構いませんが、孤独感を覚えてしまうなら本末転倒ですよね。

なので医者の数だけ形があればいいと自分は思っています。

狂ったように臨床に溺れる医者がいても良いし、同じ気持ちを家族に向けてあくまで「1人の専門職として」仕事に向かう医療者がいるのも否定はしません。

だって彼ら彼女らにとっては、それが一番ではありませんからね。

ですから昨今の美容医療への人材流出(直美)も仕方ないのかなあ、と思います。

そういう価値観をきちんと打ち出せる時勢になってきた証拠です。

できることは急性期病院など国が手厚くしたい領域の魅力を強くして、そちらを自然と選ぶようにすることではないでしょうか。

まあ、詰まるところは自由診療と保険診療の業務に応じた報酬の差がおかしいから、早く是正してほしいってことですね。笑

また愚痴っぽくなってしまいましたが、本日はこの辺で。

ではでは。

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