今回は書籍レビューをしていきます。
「おめーなぁ! それじゃあ何にもわかんねぇよ」。コンサルトをした際に、先輩医師からこんな激烈なお叱りを受けた経験はありませんか。または、せっかく丁寧に情報を伝えたつもりなのに、「何様のつもり?」「長いけど伝わらない」などと辛辣なフィードバックを受けることもしばしば。そうこうしていくうちに「コンサルトなんてやりたくない」「どうして上の先輩がやってくれないの」と、コンサルトに苦手意識をもつ初期研修医が増えるのも無理はありません。
そんなコンサルトに苦手意識をもつ若手医師のみなさんに朗報です。このたび、医師であり、小説家である、中山祐次郎先生が「10年先まで使えるコンサルト本」をコンセプトに、コンサルトの極意をお伝えします。
本書では、どんなコンサルトをし、どんなコンサルト状を書けばよいか、また、どんなタイミングでコンサルトをすればよいかを小説家という一面を持つ中山祐次郎先生が極限までわかりやすく解説しています。また、文章のプロである中山先生だからこそ、読み物としても大変おもしろい。さらに、スペシャルアドバイザー(通称「ブレイン」)として、読者と近い感覚をもった1~4年目の医師に入ってもらい、忌憚のない意見をもらい何度もブラッシュアップを重ねて本書が完成しました。中山先生曰く「売れるに決まってる。だって、どうしても必要なのにこれまで無くて、内容がとてもいいんだから」。
まずは内容について簡単に触れていきたいと思います。
全体の構成は大きく2つに分かれており、まず第一章でコンサルトの総論的な内容を、第二章で症状別の各論的なコンサルトのポイントについて記載しています。
この書籍ですがタイトルにもある通り、若手(5年目くらい)までにはかなり学びの多い内容になりそうですね。
特に第一章は「あるある」の内容が言語化されており、頷くものばかりでした。
自分がもっと若い時に読んでいれば違ったのかなあ、とも感じました。
例えばコンサルした医師の診察時に立ち会うかですが、自分も著者の書いている通りcase by caseですね。
自信があったり確認程度になりそうだったり、という場合にはあまり立ち会わなくなりました。
それは自分の立場が上になってきて、コンサルを受けつつかける側に周っているからもありますが。
ただ医者一年目から変わらないのは、他科の医師は年次を問わずスペシャリストとして尊敬することです。
時折「??」と感じる返事が返ってくることもありますが、「新しい知見が出たのかもしれない」と自分に言い聞かせて飲み込んでいます。
その後に調べ直すと彼らの意見にも理論があることもあります。
もちろん無いこともあります。。笑
そして後半、本書のほとんどを占めているのが症状別でのコンサルト方法でした。
どちらかというとコンサルトというよりは、あんちょこでの対応マニュアル集といった具合でしょうか。
正直、こちらは自分にとって新しい学びはほとんどありませんでした。
症状だけでflow chartにするのって、やっぱり無理がありますよね。笑
病歴と身体所見を合わせて、初めて鑑別が生まれるのかなあと思います。
ただ各科の先生がこれだけは意識してほしいという最低限が詰まっていますので、generalistを目指す若手の先生にはとても良い確認になるでしょう。
本書の著者の中山先生は小説「泣くな研修医」シリーズの著者であり、言葉の使い方の上手さを節々で感じさせてくれました。
先生ご自身の経歴などもユーモアを交えて書いており、面白かったです。
理系ビリでも本を出版できるくらいになるなんて、素晴らしいですね!
こちらの原著も合わせてご覧ください!
本日はこの辺で、ではでは。
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