高アンモニア血症の管理

論文関係

今日は肝不全の時の高アンモニア血症についての内容です。

Journal of critical careからです。

What every Intensivist should know about the role of ammonia in liver failure

Tiago Duarte, Pedro Fidalgo, Constantine J Karvellas, et al.

J Crit Care. 2023 Nov 7:154456.

〈本論文の一言まとめ〉

高アンモニア血症の定まった治療は下剤とリファキシミンくらい。

多くは血液浄化(CRRT)を行い対応することになるだろう。


急性肝不全(Acute liver failure:ALF)や慢性肝不全の急性増悪(acute-on-chronic liver failure:ACLF)患者は高い短期死亡率を示す。血中アンモニア濃度の上昇が肝性脳症や脳浮腫、頭蓋内圧亢進などの神経学的転帰に関連している。

1.なぜ肝不全で血清アンモニアは上昇するのか

通常、アンモニア代謝において肝臓は鍵になる。門脈からアンモニアは肝臓に到達する。半分は内因性の腸管でのグルタミン転換由来、残りは食事や細菌由来の窒素代謝産物から生成される。肝細胞でアンモニアは尿素かグルタミンへと変換される。

脳や腎臓、筋肉もアンモニア代謝に関わっているが、肝不全では代謝が障害され高アンモニア血症になる。

2.肝不全患者で血清アンモニアが上昇すると、どのように影響するのか

高アンモニア血症は肝性脳症の根本的な原因となる。アストロサイトでのアンモニアの蓄積が脳浮腫、頭蓋内圧亢進、脳幹ヘルニアなどの神経学的転帰に関連する。神経毒性だけでなく、免疫機能障害をきたし易感染性となり、全身臓器障害の誘因となる。

3.ALF患者とACLF患者で、アンモニア代謝はどのように違うのか

肝細胞死は通常、ALFの方がACLFより早く激烈である。そのためALF患者の方がACLF患者より、しばしば血清アンモニアは高値になる。

4.肝不全患者で血清アンモニアを測定することの診断学的・予後予測的な価値はあるのか

ALFの患者で高アンモニア血症(>150μmol/L)は、肝性脳症、脳浮腫、頭蓋内圧亢進といった神経学的合併症のリスク上昇に関連し、死亡率にも関与している。

ACLF患者ではALF患者よりは脳浮腫リスクが低いものの、高アンモニア血症は臓器障害や死亡率に関連している。

5.集中治療室においてどのように血清アンモニアを測定すれば良いか

血清アンモニア濃度はタンパク摂取、脳と筋肉量、腎機能、感染、消化管出血などにより大きく変わってくる。静脈血より動脈血でのアンモニアの方が、より窒素代謝を反映している。正常上限値はしばしば50-70μmol/L。正常アンモニアであることは、肝性脳症を強く否定する予測因子となる。

6.高アンモニア血症に対する治療戦略は

①下剤

非吸収性二糖類(lactuloseやlactilol)は、肝性脳症治療の第一選択であり腹水患者での脳症予防にもなる。ALF患者での治療効果は分かっていない。機序は多岐にわたり、NH3を非吸収体のNH4+へ酸化させたり、アンモニア産生菌の成長を阻害したり、腸管でのグルタミン吸収を阻害したり、アンモニア吸収を阻害して腸管排泄を促進したりする。

②リファキシミン

リファキシミンは非吸収性の腸管選択的な内服抗菌薬であり、肝性脳症患者で補助的に使用する。機序は腸管細菌叢の抑制、病原体への応答促進、腸管バリアの修復、サイトカインによる炎症反応や感染の減少とされる。

③L-ornithine-L-aspartate (LOLA) 

LOLAは肝臓内でアンモニアを尿素へ変換させることで、血中アンモニアを減らす。さらに肝臓や筋肉でアンモニアはグルタミンに変換されるかもしれない。LOLAは安全で肝性脳症患者の治療に有効であるが、ALF患者では効果が無い。

ただLOLAはフェニルアセチルグルタミンとして腎排泄を進めることで血中アンモニアを下げるかもしれない。肝性脳症患者での効果は依然、はっきりしていない。

④体外循環

アンモニアは低分子で可溶性でタンパク結合も少ない。ただ透析でのクリアランスは30-50%程度に留まる。

⑤腎代替療法

間欠透析(intermittent hemodialysis:IHD)において、血流、透析液量、膜面積がアンモニア、グルタミン、尿素のクリアランスに関連していた。ALF患者における持続透析(continuous renal replacement therapy:CRRT)では、血流、総透析量がアンモニアクリアランスに関連していた。CRRTのモダリティでアンモニアクリアランスに違いはなかった。ただ24時間処置が出来るため、CRRTはIHDよりアンモニアクリアランスや死亡率で優れていた。IHDは血行動態的に不安定な可能性がある。ただCRRTの有用性もACLF患者では示されていない。

⑥人工肝臓補助

いくつかの体外式の人工肝臓補助デバイスが発明され、Prometheus®︎とMARS®︎が最も研究された。ただこれらのアウトカムは依然としてはっきりしていない。

Prometheus®︎がMARS®︎より尿素のクリアランスで優れるとする報告もあるが、アンモニアについては同様ではなかった。

⑦血漿交換

ALF患者での血漿交換はCRRTと同様にアンモニアレベルを低下させる。ACLFにおけるデータは不足している。

7.臨床判断と将来性

昏睡状態の肝不全患者において、血清アンモニアのモニタリングは神経合併症を減らすことに繋がるかもしれない。

下剤やリファキシミンはイレウス患者で使用しにくく、CRRTは最も安全で効果的な戦略の可能性がある。


いかがだったでしょうか。

臓器別で考えた時に肝臓って凄く難しいですよね。

前の病院で肝臓に造詣のある指導医が「他はバカにやらせておけば良い」と言っていたのを思い出します。

それは言い過ぎですが、肝臓って奥深くて全貌を理解するにはまだまだ修練が必要そうです。

今回のアンモニア管理については、型通りの排便管理と血液浄化療法が一般的かと思います。

知らない治療も多かったのですが、リファキシミンはリフキシマ®︎という商品で国内採用がありました。どうやら下剤(ラクツロース)とリフキシマは、国内外のガイドラインでも肝性脳症に対して治療推奨度は高いようです。

以降はかなり落ちるのですが、LOLAは海外でよく使われています。これは肝臓内の尿素回路機能を回復させたり、骨格筋でのグルタミン合成を活性化させたりするようですが、ALFだと意味ないですね。あと静注製剤で中止するとすぐに効果が切れることや、結局アンモニアをグルタミンにするもののグルタミンは消化管で分解されるとアンモニアになってしまうというのがあり推奨は低いようです。

あと国内だとアンモニアスカベンジャーとして亜鉛製剤やカルニチン製剤を使用するようです。自分は使ったことありません。

聞きなれないものにPrometheus®︎やMARS®︎といったものがありましたが、アルブミン製剤を使用した血液吸着療法のようです。アンモニアやビリルビンは下げられるものの、生存に寄与するデータはあまり出せていないため推奨は低いようです。

そして当施設もよく行うのがCRRTですね。脳症物質の除去という目的でいわゆるCHDF設定にしてfiltrationを意識して、high flowにして回すpracticeをとっています。

前の病院ではよくアミノレバンを入れていましたが、これは意見が分かれるところがありそうです。

機序としてはアンモニアを肝臓(尿素回路)で分解できない人なので、骨格筋や脳でのグルタミン合成回路に回してBCAAからグルタミンにして消費しようというものです。ただ問題としては一部のグルタミンは腎排泄されるのですが、一部は消化管に入り再度アンモニアへと分解されてしまいます。。。そのためガイドラインでも「蛋白不耐症(高アンモニア血症)を認めない肝硬変に対しBCAAの投与が推奨」と但し書きがされています。

既に高アンモニアの人にBCAA入れて窒素負荷すると、腎機能次第ではありますが逆効果になる可能性も十分にあるのでしょう。

他の施設では皆様どうされているでしょうか。是非教えて頂けると嬉しいです。

本日はこの辺で、ではでは。

コメント

  1. Edgar J より:

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