「君はきっとまだ知らない」を読んで

医学日常

今回は一般書のレビューです。

高校生のリアルな日常に切り込んだ作品となっています。

ネタバレを多量に含みますので、気になる方は以降の閲覧はお控えください。

あらすじ

夏休みも終わり新学期を迎えた高1の光夏。6月の“あの日”以来ずっとクラス中に無視され、息を殺しながら学校生活を送っていた。誰からも存在を認められない日々に耐えていたある日、幼馴染の千秋と再会する。失望されたくないと最初は辛い思いを隠そうとするが、彼の優しさに触れるうち、堰を切ったように葛藤を打ち明ける光夏。思い切って前に進もうと決心するが、光夏は衝撃のある真実に気づき…。全ての真実を知ったとき、彼女に優しい光が降り注ぐ――。予想外のラストに号泣必至の感動作。

著者:汐見 夏衛

出版社 ‏ : ‎ スターツ出版

発売日 ‏ : ‎ 2022/4/28

文庫 ‏ : ‎ 280ページ

若々しい描写が多く、自分自身の高校時代を思い出させてくれる味わい深い一冊でした。

もちろん良い意味でも悪い意味でも。

積極的に人を傷付けてくる本作の鳥野みたいな人間って、現実にいるんですよね。

どんな過程であーゆー人間って形成されるんでしょうか。

今まで平穏なコミュニティーに所属して、なんならリーダーシップすら持ち合わせていた光夏をここまで潰してしまう。

決して誇張ではなく全く現実離れしていないなあ、と悲しいながらに感じます。

自分自身は他害に加担したことはありませんが、似たような感情を覚えた経験のある人は少なくないはずです。

そういう意味ではいじめ被害者などPTSDある方には閲覧注意の作品と言えるかもしれません。

結構、描写が繊細なので、汐見さんもいじめ被害者だったのかもと思って読んでました。

・・・すると、やはり後書きでそれらしい記載が。

やられたことが無いと分からないような表現もあるように感じますし、ここは驚きませんでした。

さて話は戻りますが、光夏には心の拠り所となる家族や友人がいてくれたおかげで立ち直れたのだと思います。

大学で精神保健の講義も受けていて感じるのですが、やはりレジリエンスって非常に大事です。

同じような幼少期の精神的負荷をきたす体験があっても、乗り越えられる周囲環境があるかどうかが大きな差になります。

自分自身はここ数年はもう医者年次からも嫌がらせを受けることはほぼ無くなりましたが、今まで色々な経験をしてきました。

これからも自分が加害者にならないよう、なおかつ今度は息子たちがそんな経験をしないよう、あるいは被害に遭ってしまったときのバッファーになれるよう、気を配って生きていきたいと考えさせられました。

また今回のような長期睡眠モノ自体に不満はないですが、目が覚めてから同じ学校に通うのは流石にまずい気がします。笑

自殺未遂するような子が同じ学校環境に行くのは、ちょっと、、、

ここは現実に即してきちんと彼らと関わりを断ち、それでも生きていける姿を示してくれると救いがあるように感じました。

学校という鳥籠みたいなコミュニティに、子供たちって大きく拘束されています。

他の世界が無いとか思ってしまいがちですが、月並みながらも世界はずっと広くて学校なんてちっぽけなものです。

子供の頃は理解できなかったけれど、今なら分かるし昔の嫌な記憶に引きずられることもありません。

どうか皆様も、今に縛られすぎずに逃げることも選択肢に入れて過ごすようにしましょう。

それは学校に限らず、部活、会社、どんな組織も含むと思います。


さてタイトルでなんとなく手に取り読み進めるうちに、昨夏にも汐見さんの書籍を読んだことを思い出しました。

何冊か読んでると文調でぼんやりと誰の作品か分かるようになってきますね。

幼い頃が一番本を読んでいましたが、その頃の感覚を思い出し懐かしくなりました。

大学院生という恵まれた時間を生かし、充実した日々を送ろうと思います。

本日はこの辺で、ではでは。

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