Warning: The magic method InvisibleReCaptcha\MchLib\Plugin\MchBasePublicPlugin::__wakeup() must have public visibility in /home/c6862217/public_html/e-doctor-blog.com/wp-content/plugins/invisible-recaptcha/includes/plugin/MchBasePublicPlugin.php on line 37
多職種連携のあり方② | Dr.Azukii's Blog

多職種連携のあり方②

まとめ

本日は前回の続きで、多職種連携のあり方についてまとめていこうと思います

多職種連携と患者転帰

ICUでの多職種連携で患者転帰が改善するという報告は数多くあります

JAMA. 2011 Jan 26;305(4):363-72.

Crit Care Med 2014;42:344-56.

Crit Care Med 2015;43:1520-5.

Crit Care Med 2018;46:980-90.

具体的に患者転帰に影響を与える項目としては以下の項目が挙げられています

バンドル/プロトコル管理

ABCDEFバンドルの遵守が10%増えるごとに生存率が7%改善した

J Appl Psychol. 2016 Sep;101(9):1266-304.

自発覚醒トライアル(Spontaneous Awakening Trial:SAT)と自発呼吸トライアル(Spontaneous Breathing Trial:SBT)で死亡率低下した

Intensive Care Med. 2020 Jan;46(1):46-56.

このようにバンドル遵守により患者転帰が改善したという報告は数多くあり、日常診療の質を上げるために大きな力になります

しかし成熟した組織であればあるほど、このバンドルが充実する故にその意味合いを勉強する機会が減ってしまうことには注意が必要です

要は何も考えずにバンドル通りに動いてしまう医療者が増えてしまう可能性があるという意味です

バンドルの意味や理由を考えながら使うことが大事になると思います

しかしバンドル自体はやはり優秀で、このバンドル遵守のおかげでTele-ICUにより死亡率が低下したという報告もあります

Chest. 2014 Mar 1;145(3):500-507.

可能な範囲でバンドルやプロトコル管理を行うことは組織にとってメリットとなる面が多いでしょう

多職種回診

多職種連携の花形といえるでしょう

集中治療医が主導する多職種回診により死亡率低下と関連したという報告があります

Crit Care Med. 2014 Aug;42(8):1797-803.

多職種での回診により看護師と情報共有で早期に呼吸器離脱ができたり、リハチームが早期に介入したり、薬剤師の介入で薬物有害事象が減少したりといった報告があります

多職種連携には教育回診という側面もあり、若手の疑問や失敗に指導医がフィードバックする貴重な場となっています

患者転帰にももちろん有益ですが、医学教育という意味でもメリットは大きいです

他にも患者安全(患者移送/申し送り)や終末期ケアといった観点からも患者転帰における利点は大きいとされています

多職種連携による経済効果

最後に経済効果についてです

ICUは多くの病院で赤字部門となっており、病院経営者から疎まれてしまいます

それは入院医療費に占める集中治療関連医療費の割合が大きいことが示されており、病院経営者はコストパフォーマンスを求めていることも事実です

Crit Care Med. 2015 Nov;43(11):2452-9.

Crit Care Med 2021;49:2017-32.

大きく解決策には2つあります

1.余計な支出を減らす

臨床転帰の改善だけでなく、不要な医療介入を削減することも重要とされています

その概念には“Choosing wisely”“less is more”なんてものがあります

N Engl J Med. 2010 Jan 28;362(4):283-5.

各学会が5つのChoosing wiselyの項目を挙げており、SCCMは2021年に以下のものを指定しています

Crit Care Med. 2021 Mar 1;49(3):472-481.

どれも当たり前のことですが、根拠もなく不要な医療介入を行わないことの重要性が強調されています

それは無益であるだけでなく、場合によっては患者に害になる可能性も秘めているからです

2.収入を増やす

他にはシンプルに収入を増やすという方法があります

特に意識したいのは診療報酬加算です

国を挙げて働き方改革を進めるために、多職種連携関連の診療報酬は軒並み点数見直しや新設の恩恵を受けています

これだけあれば使わない手は無いのでは?と思いませんか

例えば架空の大動脈解離の症例を想定してみましょう

この時に多職種連携チームが介入できた場合とできなかった場合で比較すると、、、

青が多職種連携あり、黄色が無しの場合です

なんと1週間の経過で約12万円もの加算の差が付いてしまいました

国の方策で加算の影響が大きくなっていることが分かって頂けたでしょうか

まとめ

さていかがでしたでしょうか

古くはSCCM創設の頃より多職種連携の重要性は指摘されていましたが、実はエビデンスが伴ってきたのは昨今のことで一部はまだ示されていない内容もあります

しかし働き方改革が進む中で、国も大きくタスクシフトに向けて舵を切ろうとしています

このbig waveに乗り、患者転帰の改善に繋げていきたいところですね

さて今回の内容はこちらの「Intensivist 多職種連携」からの内容になります

他にも面白い内容がたくさんありますので、未読の方は是非手にとってみてください!

今後は書籍紹介も増やしていければなあ、と思っています

ではでは!

コメント

タイトルとURLをコピーしました