「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」を読んで

公衆衛生

今回は書籍「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」を読んだ感想です。

今まさに一本書き始めるか、という時に筆が進まない中で気分転換に勧められ読んでみました。

比較的初学者向けの内容ではありましたが、自分のように執筆経験の乏しい人には学びになる章も多かったです。

以下、読んでみて自分の感じた内容についてです。

ガイドラインは絶対か?

現場ではガイドラインの扱いが人により様々で、非常に面白いです。

著者も書いている通り、ガイドラインは「医療レベルの標準化や底上げを目指すもの」であり専門医が必ずしも準拠すべきものとは限りません。

参考にする程度、あるいは専門家であれば”卒業すべきもの”とも言えるかもしれません。

謙虚さと思慮深さを持つ

初期研修医や後期研修医の頃には出来ないことばかりでしたが、臨床研究に取り組むと当時を思い出すのは誰でも通る道のようです。

ただここで自分の無知を認め一つ一つ取り組むことと、どうにも分からないことは割り切って専門家に聞くことが大事というのはまさにその通りと思います。

一人でやりぬく

臨床研究は一人ではできない、と言いますし実際そうだと思います。

よく受験でも「受験は団体戦」と言いますし、その面も確かに多分にあります。

でも結局テスト受けるのは個人ですよね?

同じように臨床研究も最後は自分自身で取り組むしかありません。

指導してくれるメンターなんていないのが普通、いたとしても1から10まで手取り足取り教えてもらえるわけなんてないのです。

このフレーズはとても響きました。

特にメンターにも玉石混交というのは分かっていましたが、いわゆるエビデンス本を書いている著者の中にも同じことがあるのは知りませんでした。。。

確かに臨床でも本を出している医者=臨床能力が優れている、ってわけではありません。

臨床研究も同じと言われれば当然ですが、自分の畑の外だったのでその認識を持っていませんでした。

ただ自分は幸いにも東大で良いメンターに恵まれ、ありがたい限りです。

著者の書く良きメンターに全て当てはまっており、こちらが驚愕するほどのマルチタスクで多くの若手に指導をしてくれています。

自分も少しでも近づけるよう日々精進するのみです。

エビデンスピラミッドの解釈

どうしてもエビデンスピラミッドに縛られてしまう人がいます。

確かにメタ解析やランダム化比較試験は、多くの情報をもたらします。

ですがこれらの実証的な研究の背景には、数多くの探索的な研究があったわけです。

その点で観察研究の価値は揺るぎないものであり、「すべての研究は観察研究から始まる」ことになるはずです。

査読者でも「介入試験じゃないから云々・・・」って言ってくることはあるらしいですが、お金もリソースもない日本だからこそアイデアで戦える観察研究マインドを高めていきたいですね。

医学統計は大事?

ここは非常に共感させられました。

確かに統計に詳しいことは良いことですが、それが即時に臨床研究の質に繋がるわけではありません。

しばしばお寿司に例えられますが、鮮度の悪いネタをいくら腕の立つ料理人が調理したところで美味しくはなりません。

逆に新鮮でさえあれば、素人が切っても美味しい刺身になります。

やはり臨床をしていない人の臨床研究は読んでいても、なんとも言えない気持ちになります。。。

医師の実力はサイエンスな部分ではなく、アートな部分に宿るというのはまさしく同意です。

絶対的に正しいサイエンスな観点は誰もが出来るべきであり、その先の意見が分かれるアートな領域でのセンスが医師の一番の能力かと感じます。

学会発表って?

自分も昔は学会発表に大きな意義を感じていました。

しかしだんだんと実情が分かるようになり、正直熱量は下がっています。

学会で目立っていても論文書いていなかったり、逆に国際的に評価されているけど国内学会には別に興味示していない先生もいます。

東大の某教授はまさしく後者らしく、海外の高名な先生が来て「Dr.〇〇は今日来てますか?先日の論文のことでお話がしたい。」と言ったそうです。

ただ国内の先生たちはポカンとしていて、某教授の海外での凄まじい業績に気が付いていなかったのでした。

国内学会で盛り上がるのも素晴らしいことですし、地域活性にもなります。

ただPublish or Perishという言葉が示すように、きちんと業績を形に残すことは何よりも大切なことですね。

EditorとReviewer

ここは言われてみて自分も考えを改めました。

どうしても1番やり取りするReviewerが最高権力者に見えてしまいますし、それを受け入れてしまいそうになります。

ですが実際にはacceptの判断をするのはEditorであり、あくまでReviewerが行うべきことは査読です。

そして論文をどうしたらさらに良くできるか、ではなく揚げ足取りに終始してしまうという話は非常に残念でした。

ただ教授の話でも似たようなことは聞かされましたし、少なく無いのでしょう。

このような形で若手の芽が摘まれるのは、本当にやるせ無い気持ちになります。

自分がメンターになる頃にはきちんと守ってあげられるように、知識をつけていこうと切に思いました。


さて、いかがだったでしょうか。

個人的には、ロバの4コマ漫画が1番印象的でした。

色んなことを色んな人がいいますが、何をするにつけても誰かは何かしらの文句を言ってきます。

ロバに子供と2人で乗ればロバが可哀想、自分が降りると子供を甘やかす、2人で降りるとロバの使い方も知らないのか、といった具合ですね。。。

辟易する面もありますが全ての人に理解してもらえずとも、自分や仲間に分かってもらえるようなメッセージを発信していければよいと感じました。

本日はこの辺で、ではでは。

コメント

タイトルとURLをコピーしました