今回は夏休みを利用して読んだ一般書の感想を書いていきます。
書籍は住野よるさんのか「」く「」し「」ご「」と「です。
みんなには隠している、少しだけ特別な力を持った高校生5人。
別に何の役にも立たないけれど、そのせいで、クラスメイトのあの子のことが気になって仕方ない――。
彼女がシャンプーを変えたのはなぜ? 彼が持っていた“恋の鈴”は誰のもの?
それぞれの「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。
甘酸っぱくも爽やかな男女5人の日常を鮮やかに切り取った、共感必至の青春小説。
住野さんと言えばデビュー作の「君の膵臓をたべたい」があまりに有名ですね。
これも大好きで何度も読みましたし、こちらのブログでは過去に「青くて痛くて脆い」も扱っています。
かくしごとは2025年5月30日に映画化され、それをきっかけに書店で見つけて手に取りました。
京、ミッキー、パラ、ヅカ、エルの5人の高校生による、もどかしくじれったい若々しさ溢れる青春小説となっています。
以下はネタバレになりますので、まだの方はご注意ください。
5人は実はそれぞれが不思議な能力を持っており、それが各章で順々に明らかになっていきます。
5人の能力は以下の通りです。
京:人の気持ちが!?などのマークで見える
ミッキー:人の心がプラスかマイナスに振れるかのバーが見える
パラ:人の心拍数が見える
ヅカ:人の気持ちがトランプの柄の4種類で見える
エル:人の恋心が矢印になって向かうのが見える
5人とも形は違えど、他人の気持ちを推定することができるのが共通点です。
京はミッキーへの恋心を抱きつつも、最初は非常に非常に奥手で何もできない少年でした。
ですが周りのサポートもあり、エルとの関係を改善させることで大きく成長していきました。
最終章のエルの回でミッキーの手を止めるなんてこと、多分当初は出来なかったはずです。
全体を読み終えた時の大枠は彼の成長ストーリーという側面もあるように感じられました。
もちろん全員が周りとの人間関係の中で少しずつ揉まれていくのですが。
この中で言うとパラの能力だけがちょっと異質ですね。
気持ちと言えば気持ちですが、心拍数ってなんだか医学みたいです。
破天荒を演じながらも実は理詰めで考えてしまう彼女らしいかもしれません。
ヅカも同じようなことを言っていましたが、ミッキーがみてもバーがくるくると回ってしまうほどなのですから、やっぱりパラはぶっ飛んでるのでしょう。
でも意外とそんな人も自分自身を客観視して冷めた目で見てしまう部分もあるのかも、、、と考えさせられました。
住野さんは本当にこういう若者の繊細な感情表現が上手だなあ、といつも感動します。
また不登校になってしまうほど繊細なエルだけが自分に向けての直接的な矢印を感じることが出来ると言うのも、非常に考えられていると思いました。
他の4人は自分以外の気持ちを見て、自分への感情を類推するしかありません。
ですがエルは最後に自分で言っていたように、「いつか私に向かった矢印」を見ることができるのかもしれません。
おそらくそれがタイトルで最後だけ鉤括弧が閉じられていないことに関連しているのかと思います。
エルの能力の特異性を表しているのでしょうか。
ただ書いていて思いましたが、この能力自体は不完全な可能性もありますね。
なぜならヅカが既にエルに抱いている気持ちは恋心にも思えるからです。
・・・だとするとエル自身には永遠に矢印が向かない訳で、彼女の性格を考えるとあまりに残酷ですね。
ヅカはパラが見ても全く感情が動いてなかったとのことであり、おそらく本当に恋心という感情に至っていないのでしょう。
そう考える方が自然な気がしてきました。
最後には無事に両想いだったとのことで、京とミッキーは気持ちを伝えられたようですね。
アフターストーリーが無いのが寂しかったですが、それもまた余韻を残す形で良いです。
タイトルに鉤括弧が多用されていたのも、5人それぞれの隠し事があるという意味なのでしょう。
いつもタイトルも思慮深くて、住野さんの作品らしいです。
どうか彼らが共に10年後にタイムカプセルを開けられたことを祈りたいです。
読み終えたいま、率直に良いなあ、と思います。
若かりし頃を思い出し、些細なことで大きく感情が揺れ動いていたあの頃が懐かしく、また微笑ましく思います。
男子校で色恋沙汰はあまり無かったので、共学っていいかもなーとも感じます。
高校生の頃の自分に「息子たちがどうするか」なんてことを考えていると知ったら、どう思うのかなあ。
ちょうど高校の同窓会があったので、ふとそんなことを思いました。
映画は子供も小さく当分難しそうなので、いつか家で観られるようになったらチェックしようと思います。
本日はこの辺で、ではでは。
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