気道を制する者は救急を制す!実践で生きる気道戦略

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今回は気道管理について書いていこうと思います。

気道管理は、ABCのAにあたる非常に非常に重要な項目です。

一方で苦手意識のある人も少なくない気がします。

気道については麻酔科の先生は、やはり知識スキルともに圧倒的です。

そして救急医と集中治療医が、その次に詳しいというイメージです。

他の科の先生は、そもそも気道管理が必要な症例に出会う頻度が稀ですからね。

一方でいつか遭遇する可能性もありますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

気道管理の大切さ

繰り返しですが、気道管理は何よりも重要です。

先人の教えでも「Anyway, Airway」「気道を制するものは、、、」なんてフレーズを聞いたことがありませんか?

そして重要ながらも苦手意識を持つ人が多く、とても怖い面もあります。

かくいう自分もいまだに筋弛緩を打つ時には恐怖心があります。

万が一、換気が入らなくなれば死にますから。

その覚悟がなければ投与してはいけない劇薬です。

自分が直接関わってはいませんが、急性喉頭蓋炎だったのに分からず筋弛緩を打ってしまい挿管も換気もできなくなった症例を聞いたことがあります。

想像するだけで身の毛がよだちます。

ただ一方で匠のワザもあり、どこまでも学びのある非常に奥深い分野です。

しかもあまり詳しい医師が麻酔科、救急科、集中治療科を除けばいないので、強みにすることもできると言えるでしょう。

1病院に1人は気道管理に詳しい人がいるのが理想ですね。

1番大事なスキルは?

間違いなくマスク換気でしょう。

挿管はできなくても良いですが、換気がされていないと死にます。

そしてコツの一つ目です。

まずは適応を判断することです。

よく低酸素になってから初めて補助換気が試みられていますが、その前でも呼吸が落ちていればダメですよね。

あるいは酸素投与だけして見た目の酸素化をよくする行為も頻回に目撃します。

血ガスみたらCO2が溜まっていて、「これはガス取らなくても分かるよね?」ってこともあります。

適応は「換気が必要な、低換気の人」に尽きます。

そこを忘れないようにしましょう。

続いてコツの2つ目です。

基本とされているのはEC法です。

これは手が覆えれば良いのですが、手が小さい女性や患者の顔が大きいとき、下顎骨に小指かけるのが大変です。

患者の右側が浮いて隙間が出来てしまうこともあります。

そのためMCL(modified chin lift technique)法というのも知られています。

これはマスク通気口のすぐ横に左手母指と示指がきます。

接続するところを直で掴むイメージです。

小指、環指、中指は自然に下顎に添えて引き寄せるだけなので、女性は特にお勧めのスキルです。

古典的にはトリプルエアウェイマニューバーが有名ですね!

こちらは後屈+下顎挙上+開口の3つを意識したスキルです。

こちらの動画に30秒でまとまっているので、ぜひ見てみてください。

これでもダメなら両手法を行いますが、もし自分しか換気に回れる人員がいなかったらどうしましょうか?

正解は「呼吸器を頼りましょう」です。

盲点ですが、別にマスクを押す側は人間じゃ無くて良いですよね。

マスクフィッテイングにあくまで手が2本必要なだけであって。

ぜひEtCO2モニターも併用して、質の高い1人での両手法換気をトライしてみてください!

MOVESって何?

補助換気をする場合、当然ですが気管挿管がよぎります。

挿管するにあたり、適応はなんでしょうか?

なぜ目の前の人に挿管する必要があるのか、自分で説明できなければいけませんね。

逆に言えば、それがクリアされれば抜管できるということにもなりますので。

MOVESというゴロがとても有名です。

これに準じて「○○に該当するから、挿管します」と論理的に方針決定できるといいですね。

ですがこの表には先があります。

挿管適応=挿管、ではありません。

適応があっても回避する(いわゆる逃げる、って言いますね)ことができれば、当然その方が良いはずです。

挿管が上手くいっても声帯を痛めるリスクや人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia: VAP)になることもありますし、何より本人が苦痛です。

どうしても安静時間は長くなり廃用も進むし、医療経済的にもデメリットでしょう。

なので気道確保や意識障害というMの要素では挿管は回避できないですが、低酸素やショックというOやSの要素はうまくすれば逃げられることも経験します。

同列に扱うのではなく、重み付けをしてあげることが大事ですね。

ABCプランニング〜A〜

続いて挿管を決意したときの作戦についてです。

Assessment, Back up plan, Call for helpの3つの軸からなります。

まずAですが、換気困難と挿管困難を考えましょう。

換気困難のゴロで有名なものにMOANSがあります。

うめき声、って意味らしいです。

この理解では勿体無いので、もう少し掘り下げてみましょう。

MやNは分かりやすいですね。

例えばヒゲだらけだったり外傷でグラグラの顎や、歯がなくて頬がこけてる人はマスクフィットしません。

そして圧負けパターンがO、AとSです。

肥満や高齢者、気道が硬いと力を加えても換気がされません。

例えば肺が真っ白で重たい場合や、強皮症や熱傷で皮膚がパツパツの場合も含みます。

そしてこれらと別次元で注意して欲しいのが、Obstruction(閉塞)です。

冒頭も言いましたが喉頭蓋炎とか腫瘍とかの閉塞は、もう何しても入りません。

これ以外は色々なスキルがありますが、こうなってしまったら外科的気道確保しか手がないこともあります。

大事なのはこうなってからの対応もですが、このリスクを見積りなるべく回避することですね。

続いて挿管困難のゴロにはLEMONがあります。

このような項目がありますが、この理解で十分でしょうか。

Mのマランパチー分類は予定手術の患者が事前に座位で落ち着いて評価するものです。

緊急で挿管が必要か考えるような人で、これができることの方が少ないですね。

そのためMを除いてLEONと覚えることが多いです。

その中では特に高齢者で首が硬い人が多く、Nの問題で苦労することが多い気がします。

続いて予備能をみるための評価です。

これは挿管手技中の低換気や薬剤投与に耐えることができるか、というものです。

HOPが有名ですが、この理解で良いでしょうか?

これもぜひ掘り下げて考えることをお勧めします。

Hですが、挿管を契機に具合が悪くなったり、酷いと心停止したりすることありますよね。

これは同じ血圧120mmHgでも血圧の内訳が違うからです。

血圧は血管抵抗と心拍出量から決まります。

要するに末梢がキンキンに冷えてて、ギリギリの状態で血圧だけ出ている人がいるってことです。

その判断はエコーが1番ですが、身体所見だけでもある程度わかります。

Oについては肥満がある人と子供は2-3分も耐えられないというのが有名です。

いわんや予期せぬ挿管が必要な人は、当然もっと早いですね。

Pは少し難しいですが、有名なのは①の呼吸代償パターンです。

もともとCO2 10mmHgとかでギリギリ代償してたのに、挿管して安心してるとアシデミアが一気に進み急変します。

元々の呼吸状態を考えての挿管後管理が重要です。

ということで、挿管戦略を考えるのは非常に難しく専門医でも意見が分かれます。

これはちょっと苦しい図表ですが、概ね使いうるカードを網羅したものです。

必ずしも全てが該当するわけではありませんが、方針を決定する上で参考にしてみてください。

ABCプランニング〜B〜

続いては考えたくないですが、失敗したときのプランです。

自分が高校生の時に、センター試験(今は共通試験ですね)の直前に「こんな時にアレだが、事前に大失敗した時のことを考えておけ。それは失敗してからは考えられない。」と恩師に言われたのが今でも響いています。

気道管理にも通ずる非常に重要な考え方ですね。

失敗した原因次第なので一概には言えませんが、声門上デバイス(i-gelなど)やGum Elastic Bougie(GEB)に救われることは多いです。

まずはi-gelの使い方についてです。

他にも声門上デバイスってありますが、使いやすさからもi-gelだけ知っておけば良いと思います。

なにせ選んで入れれば終わりです。

頭が真っ白にならずに「i-gelください」と言えるだけで、気道管理初心者ではないですね。

続いてはGEBです。

声帯見えずとも手元のコツコツっていう気管軟骨の感触だけで、挿管へ繋げることもできます。

使い方は単身で持つこともありますが、、、

Kiwi gripと呼ばれる持ち方が操作性よくお勧めです。

これは発案した先生がニュージーランド人で、愛称がキウイであることからこの名前になったそうです。

この動画がシンプルで、分かりやすいかと思います。

ABCプランニング〜C〜

Bでもダメな時はあります。

例えば声門上デバイスも無敵ではなく、そこより先のトラブルには勝てません。

それこそ急性喉頭蓋炎とかには全く無力です。

その場合にはこのアルゴリズムを意識することが重要です。

ここでは各科を呼ぶことと声門上デバイスを考慮すること、そして外科的気道確保のタイミングについても書かれています。

施設のマンパワーにもよりますので、どのタイミングで次の手を打つかは考えるようにしましょう。

挿管前の準備

そして挿管することとプランニングも決めれば、実際の準備も大事です。

ここでは頭のリソースを使わずに、体で覚えられるようなSOAPMDというゴロが有名です。

医者が手を洗う時に、いちいち考えていませんもんね。

意外と末梢ルートの確認が甘いことがあります。

末梢が漏れていたり、持続投与中でフラッシュに使えなかったりなど、、、必ず静注することができるのかを気にするようにしましょう。


さていかがだったでしょうか。

気道管理で考えることについてまとめてみました。

ただ施設ごとに置いてあるデバイスも違いますし、本当に奥深い分野です。

ぜひ自施設の頼れる麻酔科や救急、集中治療科の医師と相談して、自分なりのプロトコルを作ってみてください。

この辺りの詳細はこちらの書籍が1番まとまっていると思います。

個人的にはそろそろ改訂版を出して欲しいなあ、とは思います。

それだけ素晴らしい書籍なので。

本日はこの辺で、ではでは。

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