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緑膿菌カバーで抗菌薬は何を選択するか | Dr.Azukii's Blog

緑膿菌カバーで抗菌薬は何を選択するか

まとめ

前回に引き続き、抗菌薬について書いていこうと思います

臨床現場で院内発症の敗血症性ショックや気管支拡張症背景のCOPD増悪、発熱性好中球減少症の場合には緑膿菌を想定した抗菌薬選択が必要になってきます

しかし、その際に全てカルバペネム系(MEPMなど)を使用するは、広域抗菌薬の適正利用という観点から誤っているでしょう

では、どのように使い分けるのが良いのでしょうか?

今回は、使用頻度の高いTAZ/PIPC、CFPM、MEPMについてそれぞれ話していこうと思います

①TAZ/PIPC

グラム陽性球菌(GPC)からグラム陰性桿菌(GNR)まで広く抗菌スペクトラムを有する、優れたペニシリン系抗菌薬です

特筆すべき点としては緑膿菌と嫌気性菌のカバーができることでしょう

特に後述のCFPMとの差別化という意味では、嫌気性菌のカバーに優れています

B.fragilisやClostridium属などについてはCFPMでは外してしまいます

そのため院内発症や過去培養指摘あり、緑膿菌までカバーする必要のある胆道系感染や腹腔内感染については良い適応になるでしょう

②CFPM

こちらもGPCからGNRまで広くカバーしている優れたセフェム系抗菌薬です

強みとしてはAmpC産生菌に対して第一選択薬として使用できることでしょう

そのためEnterobacter、Citrobacter、Serratia、MorganellaなどのAmpC過剰産生のリスクが高い菌が原因に想定される場合は、とても適しています

IDSA 2022では特にEnterobacter cloacaeKlebsiella aerogenesCitrobacter freundii はCTRXやCAZでの治療によりAmpC発現リスクが高まるため避けるよう提案している程です

これらの菌に対してはTAZ/PIPCでの治療も注意するよう指摘しており、CFPMが最も力を発揮する領域でしょう

ただ難点としては過去記事でも上げましたが、CFPM脳症と言われる神経症状をきたす可能性があるという点です

特に腎機能障害がある患者や意識レベルや神経症状に懸念がある患者では、脳症を起こす事により臓器障害の原因が複雑になるため使用は避けた方が無難でしょう

またセフェム系であり腸球菌は自然耐性になる点や嫌気性菌のカバーが落ちる点も要注意です

そのため良い薬ですが、個人的には意外と使用機会は限られてくるのかなあと思っています

意識や腎機能に問題のない事が多い、発熱性好中球減少症にはとても適していると思います

AmpCまでリスクなくカバー出来ているのは心強いですね

ただFNでも肛門病変があったり、腸炎症状があったりするとTAZ/PIPCの方が良いかもしれないので悩みどころです

使うとすれば臓器障害の少ないFNの時やシンプルな院内肺炎(これが誤嚥性肺炎だと嫌気カバーするかは意見が分かれますね、以前の記事を参照してください)が良い適応になるでしょう

おそらく緑膿菌カバーとして、よりはAmpC過剰産生リスクの高い菌をCTRXなどで治療している際に、治療効果不良な際に変更するといった時が一番良い使い時なのかなあというところです

③MEPM

言わずと知れた最終兵器のカルバペネム系です

本当にコレしか無い!という理由があるときに取り出すことが大事ですね

抗菌薬のスペクトラムとしてはほとんどTAZ/PIPCと変わりません

違う点としてはESBL産生菌やAmpC産生菌にも効力があるというのが大きいですね

逆に言えば、だからこそTAZ/PIPCの濫用が進むのでしょうね、、、

カルバペネムではないという免罪符はあるが、スペクトラムとしては十分な広域な訳なので、、、

そのためMEPM考慮するのはESBL産生菌も含めてカバーしないといけない、後が無い感染症の時ですね

このためショック状態の尿路感染症などはMEPMの良い適応かと思います

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか

このように3種類の抗緑膿菌薬について挙げてみましたが、なるべくnarrowなスペクトラムを選ぶ事が重要です

例えばグラム染色で緑膿菌を疑う細めのGNRが見えれば、「後のある」患者状態ならCAZにするのも良いでしょう

ただCAZにするとCFPMと比べてEnterobacterのカバーが落ちるので、よほどグラム染色に自信があり患者状態に余裕がないと選べない選択肢ですね、、、

しかもCAZはCFPMと比べてGPCカバーも著しく落ちるため、FNでも使いずらいです

以前はFNの起因菌は緑膿菌が多かったのですが、昨今はデバイス留置が増えた影響もありGPCが原因のことが増えてきています

そのためGPCカバーは欲しいところで、その点からも改めてCFPMはFNに対してはとても良い薬ですね

あとAmpCという意味でもCAZはイマイチですので、本当に緑膿菌に一点張りのときに使うというところでしょうか

また治療開始時は仕方ないとして、早期のde-escalationが重要でしょう

特にESBL想定してカルバペネムは妥当ですが、菌が出たなら早期にCMZなどの他剤に変更を検討すべきです

あとは院内のアンチバイオグラムを踏まえた上で、患者の状態がどこまで余力があるかを判断した上でなるべくnarrowなスペクトラムの抗菌薬を選択していくことが集中治療医の腕の見せ所でしょうか

本日はこのあたりで、ではでは

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