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終末期ケア | Dr.Azukii's Blog

ICUでの終末期ケア

まとめ

本日は「終末期ケア」というテーマで話していこうと思います

ICU入室症例では全ての症例に緩和ケアを行うことが推奨されています

その中でも特に終末期となっている患者にはどのようなケアや治療決定を行うべきなのでしょうか

倫理四原則

原則には上記の4つがあります

一番大事なのは自己決定の尊重(Autonomy)で、「常に」患者本人の意思が最重要視されます

いくら家族が言おうと、本人に明確な意思があれば原則そちらが重要になります

一方で、善行(Bebeficience)や無危害(No-maleficence)も当然重要ですが、患者の意思には劣ります

そして公正(Justice)という原則もありますが、こちらは一番下にきます

例えば医療資源の分配などで、コロナ禍では残念ながら公正という観点で医療に制限がかかっていましたね

これは災害時などを除き、なるべく考慮したくない項目になります

Advance Care Planning(ACP)

ACPは倫理四原則の最重要事項である自己決定権の内容を明らかにするツールです

なるべくgoal oriented therapyになるよう、下記の項目に注意しながら「患者の価値観」を掘り下げていきます

また救急の現場などで深く話をする時間が無い状況もあるでしょう

その場合には緊急ACPとして、以下の項目だけは聴取するよう心がけると良いです

そしてこれにより治療方針が定まるまでは、救命をゴールとした医療行為を並行して進めるべきになります

予後予測

ACPを取りつつ考えなければいけないのが、疾患の予後です

トラジェクトリーカーブと言われる疾患に応じた、経時的な身体機能の低下を表にした概念があります

例えば悪性腫瘍やSAHなどの脳血管疾患は亡くなる少し前までは普通に活動出来ますが、ある点を境に急激に落ち込みます

一方で心不全やCOPDなどの疾患は何度か増悪、入院を繰り返しゆっくりと下り坂となっていきます

ただ増悪が良くなれば、前よりは悪いけれど少し上向く要素があるのが特徴でしょう

老衰や認知症は基本的に改善はなく、緩やかに下り坂となっていきます

これから言えることは例えば現在が心不全増悪を繰り返したStage Dの状態である人と、初発の心不全であれば全く予後が異なってくるわけです

その背景に応じて可逆性、「本人が理想とする」元の生活に戻れる可能性を見積もることが大事になります

Time Limited Trial(TLT)

しかし、多くの症例で予後は誰にも分からないものです

そのため方針決定に悩む事も少なくありません

そこで出てきた考え方がTLT、いわゆる「お試し期間」です

とりあえず目安の期間を設定して治療を行い、その間に家族や患者との話し合いを進めていく方策です

大事な点は医学的に妥当性が全く無いにも関わらず、TLTを免罪符として治療を行わないことですね

治療導入してから、予後や希望について話を深めていきます

その際には漫然と「医学的には妥当」な治療を行うのではなく、以下の項目を確認しながら効果判定を行いつつ次の方針を決めていきます

多職種倫理カンファレンス

TLTを始めた症例に限らず、倫理的に悩ましい症例では多職種倫理カンファレンスが有効です

その際に使うのがJonsenの4分割表です

こちらは元々は表ではなかったのですが、日本に入る際に翻訳で表になったそうです

左上の医学的適応は医師が最も適していますが、右上や右下の項目は看護師が収集に適しています

そのため原則、多職種で集まって話し合う事が大事です

例えばコメディカルが、褥瘡ができて、浮腫が酷くなり、これって無益な治療では?と感じることがあるでしょう

その際に左上の要素が大事で、医学的に回復の余地があるなら無益では無いだろうし、予後が絶望的ならば確かに無益な可能性が出てきてしまいます

このあたりを多職種で共有する際に、4分割表はとても便利なツールです

まずは医学的妥当性を確認し、患者の意向や周囲の状況を共有、最後にQOLを上げるにはどうしたら良いだろうかを話し合う、という流れになります

Code Status

最後にCode Statusについてです

上記の話し合いを経て患者個別のCode Statusが決まっていきます

その時によく聞くのが「DNAR」という言葉ですが、これって正しい意味で使われているでしょうか?

本来はDo Not Attempt Resuscitationの略なので、心停止時に初めて効力を発揮するものです

大切な死の過程を無益な蘇生行為で台無しにしないためのものになります

なんとなくDNARだから、と使われている病院も散見されますので、最近は「No CPR」という表現に変えて誤った使われ方がしないように意識されてもいます

最後に

さて、いかがでしたでしょうか

本邦での緩和ケア、特に終末期ケアは国民性もあってか、なかなか思うように進んでいないところもあります

シンプルに「患者本人の意思に則った治療を行う」という原則のもと、不要だったり無益だったりする介入を無くしていけると良いなと思います

明確な答えのある領域では無いし、まだまだ自分も勉強しなければですね

今回、勉強する際に大変参考になった資料を2つ付記しておきます

①終末期ディスカッション

全ての医療者に読んで欲しい名著です

現場で遭遇しうる複雑な症例にどう接していくか、苦悩しながら紐解いていく素晴らしい一冊です

②救急・集中治療領域における終末期医療に関するガイドライン

3学会(集中治療学会、救急医学会、循環器学会)からの合同ガイドラインで、4ページだけですが大変まとまっているので、関係者は是非こちらから読んでおくと良いと思います

本日はこの辺で、ではでは!

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