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ARDS | Dr.Azukii's Blog

ARDSの管理について

論文関係

今回はARDSにおける課題や治療の個別化に関してのレビューです

内容は総論的なもので、ざっくり広く浅くといった内容でした

〈本論文の一言まとめ〉

ARDSの治療にはいくつかエビデンスの出ているものもあるが、極めて少ない

分かっている事柄を守りつつ、その他の項目は余計な介入になる可能性を意識しよう

Battaglini, D, Fazzini, B, Silva, P.L, Cruz, F.F, Ball, L, Robba, C, Rocco, P.R.M, Pelosi, P.

Challenges in ARDS Definition, Management, and Identification of Effective Personalized Therapies. 

J. Clin. Med. 2023, 12, 1381.

ARDSの支持療法について

・1回換気量(TV)

肺保護換気の基礎となるのはARMA trialで、TVが予測体重の6ml/kg vs 10-12ml/kgで低換気量が生存率の改善を示した

しかし多くはARDSが認識されず、大きなTVを受けていた

6.5ml/kgを超えて1ml/kg増えるごとに、ICU死亡率が23%増加する報告もあり

この管理は救急外来で始める必要がある

・PEEPと肺胞リクルートメント

PEEPによりリクルートメントや肺内シャントの減少、酸素化の改善といった利点がある

無気肺になる肺胞を開いたままにすることで、VILIから保護することも示された

しかしPEEPは吸気終末肺容量の増加、肺のストレス増加などの害もある

また静脈灌流量が減ったり、肺胞中隔血管を狭窄させ肺血管抵抗が増加したりなどの機序で心拍出量を低下させることもある

計3264人もの患者を登録した4つのRCT(ART、ALVEOLI、ExPress、LOV)では高いPEEP群(約15cmH2O)と低いPEEP群(8-13cmH2O)で比較した

しかし高いPEEP群で生存は改善できなかった

高いPEEPは循環に害を与えたり、あるいは肺という意味でも過膨張とコンプライアンス低下をきたすこともある

その後は、肺の形態やFiO2に応じてPEEPを個別に設定していく時代になった

・駆動圧(driving pressure:ΔP)とプラトー圧

駆動圧はプラトー圧-PEEPで容易に計算できる

レトロスペクティブ研究ではあるが、一定のTVとRRで5-15cmH2OのPEEPを評価し、いずれのPEEPでも駆動圧が高い群で肺ストレスと肺エラスタンスが有意に高いことが示された

Lung SAFE studyではプラトー圧、PEEP、ΔPがARDSの予後と関連すると報告された

結論としてはΔP 13-15cmH2O、プラトー圧<30cmH2Om、ならびに酸素化を維持できる最低限のPEEP、TVが良いとされる

・slower is better

肺に一定の緊張が持続していると、そのストレスは一定ではない

例えば経肺圧は時間とともに減少していく

どんな呼吸器でも、長い時間の方がひずみの変化は減らす事ができる

RRは過小評価されがちだが、最近の結果では死亡率やVILIとの関連も示唆されている

またリクルートメントマニューバーも酸素化の改善に繋がるが、VILIとも相関している

そのため段階的なPEEPの調整は良いかもしれない

・メカニカルパワー(Mechanical Power:MP)

メカニカルパワー(J/min)は単位時間あたりに人工呼吸器により伝達されるエネルギー量

全てのパラメーターを使用するため、肺保護をより正確に予測する可能性がある

計算式はVolume controlled ventilationでMP = 0.098 × VT × RR × (Ppeak − ∆P/2)

MP>17J/minはより高い死亡率と関連していた

しかしこの指標はまだどこまで使えるか不明であり、ベッドサイドで簡単に計算ができる訳でもない

・腹臥位療法

ARDS患者の腹臥位は酸素化を改善し、リクルートメントの可能性を高め、過膨張領域を減らし、潜在的にVILIを減らす

PROSEVA trialが有名で、PFr <150mmHg、FiO2 60%、PEEP 5cmH2O以上の中等度から重度のARDSの死亡率を改善させた

現在、国際的なガイドラインでは腹臥位を早期に、理想的には36時間以内に開始することを推奨している

ただチューブ閉塞、褥瘡などの有害事象が懸念としてある影響も大きい

皆様どうでしたか

かなり深い内容で、しかも多くが定かではない情報ばかりです

どれも観察研究ばかり、本当に何を守るべきかはよくわかっていません

自分が思う生理学的に正しい事を突き詰めていくことが良さそうです

肺保護管理などは、また後日まとめようと思います

ではでは

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