今回はCCMより重症患者における平均動脈圧の目標値についてのシステマティックレビューおよびメタ解析です
実臨床でも高血圧ある人だから、少し血圧管理目標を高めにするといった管理もままあるかと思います
〈本論文の一言〉
MAP65mmHg目標と75-85mmHg目標では死亡率に差が無かった
サブグループ解析では高血圧ある患者においてMAP高値群でRRTリスクが減る可能性はあるかもしれない
Crit Care Med. 2023 Feb 1;51(2):241-253.
Mean Arterial Pressure Targets and Patient-Important Outcomes in Critically Ill Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials
Kallirroi Laiya Carayannopoulos, Andrew Pidutti, Yashita Upadhyaya, et al.
PMID: 36661452
2021のSSCGでは敗血症性ショックにおいて、MAP 65mmHgの維持を強く推奨しています
そのために輸液負荷や昇圧薬を使用します
しかし輸液は過剰になれば人工呼吸器期間を延ばし、ひいてはICU滞在期間延長に繋がり、昇圧薬も不整脈や虚血イベントのリスクにもなり懸念無しで使えるわけではありません
その中でわざわざMAPを高めにすることに意義があるのかは、以前から議論の的になっていましたが確固たる根拠はないのが実情です
そこで今回のシステマティックレビューが組まれました
対象となったのは6つの研究、n=3690でした
ただ1つの研究がn=2463と偏りがあり、distributive shockのみのデータでした
全体でみると心原性ショック(n=169)、出血性ショック(n=164)で、ほとんどがdistributive shockで占められていました
カテコラミンは昇圧薬、強心薬のいずれも使用は認められていましたが、ノルアドレナリンとドブタミンかドーパミンなどとある中でノルアドレナリンとアドレナリンの組み合わせを指定する重症患者に絞った研究もありました
結果としては死亡率や腎代替療法、腸管虚血、不整脈などで変わりは無し
ただ高いMAP管理では昇圧剤の使用期間が延びる可能性がサブグループ解析より示唆されました
また高血圧患者のサブグループでは高いMAP管理で腎代替療法を受けるリスクが減る可能性があるかも
このMAPが高いと腎機能が保たれるという仮説は、他の敗血症などの研究でもちょこちょこ出てくるところですね
全体として、やはり高めMAPとする確固たる根拠はなさそう
ただ腎機能の意味では高め管理は検討されるかもしれない、というところでした
もちろん仮説の範囲ですので、昇圧薬の量に応じて害がなければ高めMAP管理を行ってみても良いのかもしれませんね
やっぱり結論は昨今言われ続けている個別化ですね
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