コロナ禍での救急レジデントにかかる負荷

論文関係

今回はEMJよりCOVID-19流行下における救急レジデントの健康状態についてです

非常に考えさせられる内容でした

〈本論文の一言まとめ〉

コロナ下で心身ともに負担を感じるレジデントは多く、PGY3-4では仲間意識が強まることもあるがPGY1-2では孤立感を覚える方が多かった

Emerg Med J. 2023 Feb;40(2):92-95.

Emergency medicine resident perspectives on well-being during COVID-19: a qualitative study

Anish Agarwal, Hareena Sangha, Amanda Deutsch, et al.

PMID: 36171075

COVID-19の影響もあり精神的負荷や燃え尽き症候群は世界中で問題になっています

フェイスシールド越しにしか患者と話せない、上級医からの指導もPPE付けながら、、、

教える側も教わる側も辛い状況がいまだに続いています

今回対象となったのはアメリカのPGY1-4(卒後1年目-4年目)の救急レジデント17名です

質改善調査(Qualitative Research)として行われています

5つのテーマが挙げられていました

①チームからの孤立

特にPGY1-2はストレスの中で孤立感を覚えた

一方でPGY3-4は仲間意識が強まったとする声もあった

②知識の渇望とリーダーからのサポート不足

治療ガイドラインも不確実で、同僚に感染者も出る状況を不安に感じた

教育スケジュールの変更や将来の不透明さも心理的な負荷になった

③個人の安全の懸念

自分自身を気遣うことが出来なかった事、リーダーからのささやかな気遣い(食べ物など)が幸福感に影響を与える因子だった

④学びの機会を逃したことへの恐怖

学びの機会を失い将来のキャリアに不安を感じた

業務のためメンターシップ制度や臨床研究、将来計画などが支援されていないと感じた

⑤精神的・健康的支援のリソース

多くの負の影響を受ける中で、その支援をどのように受けられるかを苦労した

予想はしていましたが、やはり全体的に苦しい内容ばかりでした

おそらく大きなlimitationとして、この任意参加のアンケートに答えることのできるレジデントの意見でしかないということですね

こんなアンケートに答える余裕すらない人たちもいたのでは無いでしょうか、、、

自分自身もまさにコロナと共にレジデント生活を送りましたが、厳しい第5波は忘れられない夏になりました

応需したくても出来ない、してもベッド(入院ベッドでなく観察ベッド)すらない、、、

ただそれは必ずしもネガティブな意味ではなく、辛く厳しいながらも仲間と出来る限りの事を出し尽くした仲間意識がありました

今回で一番衝撃だったのは、PGY1-2とかだと仲間意識よりも圧倒的に孤立感の方が強かったという事です

気を遣ってはいたつもりでしたが、おそらく自分の周りもそうだったでしょう

出来る事のない無力感の中で、時間だけが過ぎていき、多職種含めて人間関係もまだ出来ていない、、、それは辛いですよね

特にこれからは新入職のレジデントを守っていかなければいけないと、改めて考えさせられる一本でした

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