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血圧 | Dr.Azukii's Blog

血圧測定はAライン?それともマンシェット?

論文関係

今日はICUにおける血圧モニタリングに関しての論文です

多くはAラインを留置すると思いますが、非観血式の測定とはどのように使い分けするべきなのでしょうか

〈本論文の一言まとめ〉

マンシェットもAラインもMAPの判断には差がなさそうだが、異質性の強いデータに留まる

一般論としてはショックで血圧が低い時や連続的に血圧管理をしたい時にのみ、Aラインは意義がある

Anaesthesiol Intensive Ther. 2022;54(5):425-431.

Accuracy and precision of oscillometric noninvasive blood pressure measurement in critically ill patients: systematic review and meta-analysis

Wagner Nedel, Alessandro Vasconcellos, Karoline Gunsch, et al.

侵襲的動脈圧(invasive arterial pressure:IAP)の利点はダイナミックに瞬時に変化を見ることが可能で、より綿密なモニタリングが出来ること

しかし出血や感染、仮性動脈瘤、遠位虚血などの合併症リスクもある

非侵襲的観血的上腕動脈圧(Noninvasive intermittent arm blood pressure:NIBP)はしばしば信頼性が疑問視され、IAPを奨励する理由となる

だが60000人以上の患者を対象とした大規模なコホート研究では、昇圧薬が投与されていてもIAPとNIBP患者において予後改善に関連は無かった

今回は観察研究によるシステマティックレビューおよびメタ解析を行なった

対象研究では成人のあらゆるICU症例、昇圧薬使用もあり

IAP測定は大腿、上腕、橈骨、腋窩のいずれかで行われた

結果としては1593人がメタに含まれ、NIBPはIAPに比較してMAPが1.5mmHg低かった


重症患者においてもNIBP測定はIAP測定と比較して十分な精度を示す、と結論に書かれています

さて、本当にそれで大丈夫でしょうか?

まず今回のデータですが、Heterogeneity I2=96%でデータの異質性はかなり強いです

またIAPとNIBPは測定方法だけでなく、使用目的も大きく異なります

そもそもNIBPは外来患者や家庭での高血圧の管理が目的で作られており、本来はICUでの低血圧患者に使うことを目的としていません

またカフの装着部位、適正なカフ幅を使うことや、体動や不整脈に弱く、皮膚トラブルにも繋がることがICU患者では問題になります

そのため血圧が下がっている時に関しては、NIBPを使うことの意義は低いでしょう(そもそも測れないだろうけど)

ではIAPは完璧なんでしょうか

もちろん穿刺に伴うリスクはありますが、それを除けば波形から情報も得られるし持続的にモニタリング出来るし採血にも使える、、、

さてさて、侵襲的であれば絶対に正確なのでしょうか

実はIAPの値は血管抵抗の影響を大きく受けます

本来は心臓の出口が圧勾配から考えると最も高く、末梢に流れるに従って圧が下がっていくと思われます

ですが、必ずしもそうではありません

特に覚醒時やSVRが上がっている状態だと、むしろ末梢動脈の方が圧が高くなります

一方で敗血症時のようにSVRが下がっている状態だと、末梢動脈の方が圧は低く出る傾向があります

この場合には手を強く握りSVRを高めるだけでIAPは容易に上昇します

Sapp Med J 1990; 59:111−7

またAラインはなまる、オーバーシュートなんて現象を起こしますが、これは共振現象という血流の振動による圧波形が回路や留置針などの管内で共振し変形することが原因です

回路の長さや太さに依存するので、理想は太く短い留置針で穿刺部に直接トランデューサーを付けると正しい圧波形に近付くようです

・・・まあ固定できないので無理ですね笑

一般的にMAP≧65mmHgが保たれているような状況では、NIBPの方がより正確と言われています

したがってIAPを使うべきなのは

・ショックで血圧が低い症例

・連続的に血圧管理がしたい症例

に尽きます

そもそも「血圧モニタリング」の意義自体も奥が深いテーマですね

sBPとdBPとMAPってどれが大事なのか(多くはsBPで語られることが多くないですか??dBPって見てますか??)

血圧=循環動態の指標になるのか??etc

機会があれば、また書いてみようかと思います

安易なAライン留置は警鐘が鳴らされており、採血や波形による輸液反応性などの情報目的での留置は否定的な意見が増えています

留置場所については生理的には中枢部の方が高く出そうですが、それはSVRによって変わります

基本的には必要症例では橈骨動脈のような穿刺合併症の低い部分を選ぶことが好ましいでしょう

あとは回路は安全との兼ね合いですがなるべく短く(オペ中は仕方ないです)、穿刺針は太く短いものにするとかも大事ですね

今日はこの辺で、ではでは

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