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PPV、輸液反応性 | Dr.Azukii's Blog

PPVみて輸液するのって本当に正しい?

論文関係

今回はCritical Careより脈圧変動(Pulse Pressure Variation:PPV)が1回換気量を制限した状態で有用になるかについてです

確かにPPVを正確に使用するには古典的には8ml/kgの1回換気量が必要と言われ、他にも自発呼吸が無いこと、洞調律であることなども条件として挙げられており、フロートラックを売り出しているEdwards社も使える状況は限定的と認めています

その中でも特に8ml/kgは時代に合わなくなっており、今回は換気量変化(tidal volume change:TVC)で評価出来ないのかを調べた解析です

ちなみにPPVと1回拍出量変動(stroke volume variation:SVV)が似ていますが、PPVは脈圧を指標にしています

PPV(%)=(最大脈圧+最小脈圧)/平均脈圧で算出しており、脈圧が洞調律で幅があると前負荷の要素が大きく輸液反応性ありそうって使い方です

SVVはPPVに相関すると言われ、制約もほぼ同様です

だいたい両方ともカットオフは10-15%くらいのことが多いですね

〈本論文の一言まとめ〉

PPV単独よりはTVCの方がデータの信用性は高そうで実臨床に合っている

では使うかと言われると別問題、やはり輸液反応性は総合的な評価が好ましいだろう

Crit Care. 2023 Feb 2;27(1):45.

Does tidal volume challenge improve the feasibility of pulse pressure variation in patients mechanically ventilated at low tidal volumes? A systematic review and meta-analysis

Xiaoying Wang, Shuai Liu, Ju Gao, et al.

429人の患者を含む10の研究のシステマティックレビューおよびメタ解析

TVCはPPVが1回換気量が少ない場合でも評価を可能にするかもしれない

PPVやSVVのような動的指標は静的指標より輸液反応性の評価に優れていると報告されている

ただPPVにはlimitationが多く、十分な胸腔内圧変化がないと拾い上げが出来ない

その目安が8ml/kgの1回換気量とされているが、現在の6ml/kgを目安とする呼吸器戦略の中ではPPVが実用的な場面は限られている

そこで考えられたのがTVC

手順としては1回換気量を6ml/kgから8ml/kgに調整し静脈灌流量を減らすことで、PPVがどれだけ変化するかを確認する

なお測定はTVCの1分後に行う

ΔPPVとΔPPV%という指標があり、例えば

6ml/kg→5%

(1分後)8ml/kg→20%

ならΔPPV=20-5=15、ΔPPV%=15/5=3となる

結果としては平均AUROCは低1回換気量でのPPV群が0.69、一方でTVC群が0.89で有意な差がみられた

なお異質性は76%であった

また肺コンプライアンスの低下はPPVでは30未満で影響を受けるとされるが、TVC群では影響が少なかった

そして自発呼吸がある場合や、腹臥位療法で腹圧が上がっているとIVCの圧が既に高く呼吸での変動が少なくなるため使えない

肝心のカットオフは、研究によってかなり幅が大きい

使用のタイミングが難しいが、使う際にはまずΔPPVから行うのが良いだろう


はい、いつもの輸液反応性ネタですね

結論はもうおそらく出ていて絶対的な指標はなく、これらの指標を組み合わせて複合的に評価する

必要なら適宜のfluid challengeで少量入れて、細かく心拍出量をエコーやSGCでモニタリングするって事ですね

ただ細かいネタですが完全に無意味となっていたPPVやSVVに光を与える可能性のある研究で、今後の続報に期待というところでしょうか

この内容はINTENSIVIST 2017 Vol.9 No.2「輸液・ボリューム管理」の中でめちゃめちゃ分かりやすいアルゴリズムがありまとまっています!

救急集中治療系の医師は必読ですね

今日はこの辺で、ではでは

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