妊娠反応検査で偽陰性ってある??

論文関係

今日は久しぶりにERからの臨床疑問に答える内容にしています。

普段使っている尿検体での妊娠反応検査、救急外来では必須の検査になりますね。

感度も特異度も高いことが知られていますが、尿検査で妊娠反応陰性にも関わらず、胎児がいるってあり得るのでしょうか??

先日このような症例を経験して非常に勉強になったので、その疑問に答えてくれる一本を解説していきます。

“Hook-like effect” causes false-negative point-of-care urine pregnancy testing in emergency patients

Richard T Griffey, Caleb J Trent, Rebecca A Bavolek, Jacob B Keeperman, Christopher Sampson, Robert F Poirier

J Emerg Med. 2013 Jan;44(1):155-60. 

PMID: 21835572

〈本論文の一言まとめ〉

妊娠早期だけでなく妊娠後期にもhook effectやhook like effectにより、尿検査での妊娠反応検査は偽陰性になりうる

—————————————————————

救急外来において妊娠を見逃すことは、不適切な薬剤投与や放射線暴露に繋がり胎児死亡や患者不満、訴訟に繋がる。

妊娠検査の方法はOTCの尿検査から定性/定量の血液検査まで幅広く存在する。

血液検査と比較して尿検査(point of care:POC)は感度100%、特異度98.3%とする報告もある。

さらに尿POC検査は中央値7.6分、中央検査室での尿検査は中央値67.4分と言われ、正確性だけでなくスピード面でも非常に優れている。

注意点としては不適切な判定時間、尿検体では偽陰性をきたすことも知られている。

POCで陰性、血中hCG陽性の症例が、11760例中に40例で認めたという報告がある。

この施設での検査閾値はPOCキットで25IU/mL、血液検査で5IU/mLであった。

POC検査は尿中のhCG抗原に対してモノクローナル抗体とポリクローナル抗体が反応して、“サンドイッチ反応”をきたすことで陽性と認識する。

hCG(human chorionic gonadotropin)はαサブユニットとβサブユニットから構成され、着床後に胎盤から放出される。

妊娠反応で検出されるのはβサブユニットであり、αサブユニットは他のホルモン(LH、FSH、TSH)でもみられる。

さらにβサブユニットは様々な形態で存在し、hyperglycosylated hCG(H-hCG)、nicked hCGなどがある。

それぞれの濃度は妊娠週数により変わり、H-hCGは妊娠初期に高くなり妊娠4週までは全体のhCGの60%を占める。一方で、second/thrid trimestersになると5%未満にまで低下する。

尿中POC検査の閾値は15-100IU/mLとされている。

ある研究では検出度99%と報告しているが、一方で妊娠1週になると実際は97%止まりである。

これは同時期hCGの中で多くを占めているH-hCGが、尿POC検査において特に低感度を示してしまう要素もあると報告されている。

一方で偽陽性の原因としてhCGが過剰に存在する場合も報告されており、first trimester後期から起こりうる。

こちらの機序としては過剰に存在するhCGにより固定された抗体と標識抗体を同時に別個で結合してしまうことで、正しく標識が検出されないことによる。

これを『hook effect phenomenon』と呼ぶが、理由は血中濃度が上がるにつれて検出感度が逆説的に低下していくグラフの見た目が「フック」に見えるため。

尿中POC検査では絨毛性疾患などで1,000,000mIU/mL(単位が違うため注意)にならないとhook effectは起こらないとされるが、正常妊娠でも報告はされている。

似たような偽陰性として『hook-like effect phenomenon』と呼ばれる現象もある。

こちらはhCG-βcfのような異なるサブユニットが標識抗体に結合することで、正常なサンドイッチ反応が出来なくなることにより生じる。

仮にhook-like effectでの偽陰性が疑われれば、尿検体を生食で1:2と1:5に希釈したものでも検査を行なっている。

—————————————————————

いかがだったでしょうか。

妊娠早期でまだ濃度が十分でなく偽陰性になるのは非常に有名かと思います。

むしろそのために尿検査キットは感度を上げようとして、今はhCG 25-50IU/mLを閾値としているものが多いです。

当院のものも25IU/mLがカットオフでした。

正直普通の人に使えば感度特異度は極めて高い検査なので、妊娠反応が陰性であれば否定してしまっても良いかなと感じます。

ただ未受診妊婦などで妊娠後期に測ってしまうと、今回の機序で偽陰性をきたし意図せず被曝をさせてしまうことになり得ますね。

理想は妊娠反応の検査結果も絶対では無いことを毎回説明しつつ、必要な検査に進んでいくことでしょう。

検体の希釈も、実際にはやらないですよね。。。

濃度が不十分であれば逆に薄めて偽陰性にしてしまう可能性もありますし。。。

ちなみに妊娠している方にCT検査って撮っちゃダメなんでしょうか??

こちらは次回のテーマで扱ってみようと思います。

非常に考えさせられる症例でした。

本日はこの辺で、ではでは。

コメント

タイトルとURLをコピーしました