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心移植、VAD | Dr.Azukii's Blog

両心室不全(biventricular heart failure:BHF)の人工補助装置

論文関係

今日は両心室不全(biventricular heart failure:BHF)の人工補助装置についてです

〈本論文の一言まとめ〉

HM3に代表される心不全に対する人工補助装置の開発が進んでいる

まだ本邦で見る機会は少ないけど、将来は当たり前になっているかも

Front Cardiovasc Med. 2023 Jan 6;9:972132.

Biventricularassist devices and total artificial heart: Strategies and outcomes

Taiyo Kuroda, Chihiro Miyagi, Kiyotaka Fukamachi, et al.

PMID: 36684573

左室不全に対するleft ventricular assist device(LVAD)は開発が進んでおり、本邦でも2021年4月にHeartMate3(HM3)が長期在宅補助人工心臓治療(Destination Therapy:DT)について保険収載され話題になりました

ですが、両室サポートのbiventricular assist device(BVAD)やtotal artificial heart(TAH)は依然として課題が多いようです

BHFには慢性的/一時的サポートと左室/右室の組み合わせがあり、それぞれに応じて考えます

一時的な左室サポートと慢性的な右室サポートは稀なため、今回は扱っていません

①慢性的な右室サポートを伴う慢性的な左室サポート用のデバイス

方法は2種類あり

1)LVADを2つ使いLVAD+RVADとする

アメリカでは毎年3000人ほどがLVAD移植を受けており、HM3の治験では4-7%ほどでBVADを必要としたようです

機序としてはLVADにより心室中隔が左側へシフトし、右室収縮の仕事量を増大させることや中隔乳頭筋をずらしTRが増悪することが指摘されています

またLVADにより静脈灌流量が増える事で右室機能障害が顕在化する場合もあるようです

重要なのはBHFに至る可能性を事前に見積り、早期にアップグレードすることと指摘しています

そのための指標に単一のものはなく、CVPやPCWP、RV SWI、 PAPiなどを総合的に使用します

ただ現状はアメリカでもHM3をRVADとして使うことは適応外使用になるようです

2)完全人工心臓(total artificial heart:TAH)

他にはTAHがありますが、こちらは両心室を切除することになり、次の一手としては心移植のみになります

デバイスとしては図の通りで、SynCardia(A)が最も一般的に使われるようです

左が70cc、右が50cc規格です

Aeson(B)というデバイスもあるみたいです

またSynCardiaによるDTについても2022年に臨床試験が行われているとのことでした

②一時的な右室サポートを伴う慢性的な左室サポート用のデバイス

短期間のサポートであれば体外ポンプが使用され、多くは外科的RVAD(surgical extracorporeal RVAD:sRVAD)と呼ばれます

利点としては留置が容易であり、HM3移植中にも緊急で胸骨切開しsRVADを追加留置できること

あとはHM3もMICSで行うパイロット研究もあり、その際には胸骨切開いれずにいけるImpella RPも候補になるようです

②一時的な右室サポートを伴う一時的な左室サポート用のデバイス

この場合にはImpella+Impella RP(通称BiPella)が候補になるようです

注意点としては適切に左室unlodingされているかモニタリングしないと、LAPが高くPVRが上がり心仕事量が増えてしまうことですね

さて、このようにMCSの機運は高まってきていますが、やはりポンプ血栓や出血、感染との戦いではあるようです

また診療できる医療者が限られてしまうことも懸念ですかね

HM3は定常流なので正常に動作していても脈は触れていません

そのためHM3をつけて意識障害になると、心停止と勘違いされて胸骨圧迫される、、、なんて症例もあったようです

基本的には作動していれば問題ない、というのが定説ですね

まだ日本に入ってくるのはおそらく先でしょうが、HM3をつけた方はいつ外来に飛び込んできてもおかしくありません

知識としてアンテナを張っておくことは大事でしょう

参考になったら幸いです、ではでは

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