間欠透析と持続透析の中間って何?

論文関係

本日はCritical Careより長時間の間欠腎代替療法についてです

〈本論文の一言まとめ〉

IHDとCRRTの中間にはPIRRT(SLED)というものがあり、早期離床や医療コストの意味ではCRRTより利点があるかもしれない

Edward G Clark, Anitha Vijayan

How I prescribe prolonged intermittent renal replacement therapy

Crit Care. 2023 Mar 8;27(1):88.

・PIRRTとは

長時間の間欠腎代替療法(Prolonged Intermittent Renal Replacement Therapy:PIRRT)は”ハイブリッド”形態の腎代替療法である。

PIRRTは間欠的血液透析(intermittent hemodialysis:IHD)よりも長い時間で行われる(それぞれ6-12時間vs3-4時間)が、持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)のように24時間は行わない。通常、PIRRTは週に4-7回行われる。

PIRRTはHDやCRRTほどICUで行われることは無いが、1990年代後半に文献に登場して以来、徐々に使用が増加している。

これは血行動態が不安定な患者にRRTを安全に提供する費用対効果がCRRTと比較して高いとする報告もある。

・PIRRTの適応

KDIGO2012ガイドラインでは、血行動態が不安定な患者にはCRRTが最適解としている。

しかし現在ではPIRRTはCRRTの代替として使用される。

IHDやCRRTほど臨床研究が進んでいないが、PIRRTを使用して重症患者のAKIを管理することで、CRRTより死亡率や腎機能の改善に寄与するというデータはない。

利点としては循環が不安定な患者でも、間欠になるので画像検査やリハビリテーションなどの処置の妨げになりにくい。

たが早期の低分子クリアランスが望まれる中毒や極度の電解質異常の際にはIHDを優先させるべきであり、外傷性農村省、頭蓋内圧亢進または高度の低ナトリウム血症患者ではむしろCRRTを優先する必要がある。

・PIRRTのモダリティ

PIRRTは標準的なIHD機械かCRRT機械を使用する。

IHDよりクリアランス効率を落とすか、CRRTよりクリアランス効率を増加させる。

・抗凝固

Qbが高いのでCRRTと比較すると抗凝固の必要性が低くなる。

抗凝固無しで行うこともあり、必要な場合には未分画ヘパリンが最も一般的に使用される。

・PIRRTの典型的な設定

IHDよりQbを落とし透析効率も下げることでPIRRTになる

なお透析率は日本での単位はml/hのため×60すると普段の数値になる


施設により呼び名は変わりますが、いわゆる持続型低効率透析(sustained low-efficiency dialysis:SLED)と呼ぶこともありますね

循環状態に応じてHDかCRRTになりますが、その中でCRRTになりそうな患者でもリハビリのために早期にPIRRTを挟むというのは良いアイデアでしょう

栄養も持続より間欠投与にする方が生理的で、リハビリや移動での中断も少なく早期に目標カロリーに到達したとする報告もあります

可能な限りデバイスをつけっぱなしは避けた方が良いですね

比較的安定して懸念がある症例のみPIRRT(SLED)トライしてからIHDに繋いでいましたが、もっと早めに始められるのかもしれませんね

是非、トライしてみたいなあと思わせてくれる一本でした

早期離床とかにも繋がりそうですね!

ただ除水をかける時とかは24時間の方が計算もしやすく良いかもなので、目的次第といったところでしょう

本日はこの辺で

ではでは

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