Critical Careより、てんかん重積治療における2nd lineとしてのバルプロ酸(valproic acid;VPA)の位置付けについてのRCTです
〈本論文の一言まとめ〉
てんかん重積の2nd lineでバルプロ酸追加しても予後は変わらないかも
Crit Care. 2023 Jan 9;27(1):8.
Valproic acid as adjuvant treatment for convulsive status epilepticus: a randomised clinical trial
Tarek Sharshar, Raphaël Porcher, Pierre Asfar, et al.
PMID: 36624526
発作時の1st line、2nd lineという概念はだいぶ確立されてきましたが、まだ選択薬剤には議論の余地がありそうですね
(どこかで発作時対応についても記事にしたいですね)
PICOは以下の通りです
P:2013-2018年のフランス16施設ICUにて全般性痙攣性てんかん重積(Generalised convulsive status epilepticus;GCSE)で入室した成人患者
I:2nd lineとしてVPAを30ml/kgで初回負荷、以降1mg/kg/hで12時間投与
C:0.9%生食をVPAと同量投与
O:15日での生存退院
VPA自体に神経保護作用があり、エピジェネティックな機序、抗炎症作用などが指摘されているようです
ただ引用みると動物実験など、データは乏しそうでしょうか
多くの症例(7割ほど)で別の2nd lineとしての投薬が入っていることはポイントですね
プライマリーアウトカムは
the proportion of patients who were hospital-discharged alive at day 15 was 77/126 (61%) in the VPA group and 72/118 (61%) in the placebo group (RR: 1.04 (0.89 to 1.19), p=0.58
との事で有意差はなし
セカンダリーアウトカムも特に差はなさそう
VPAの追加投与は特に意味がないということでしょうか
今回の研究は発作時ガイドラインの普及もあり管理の質が上がったことも影響したのか、重症患者の拾い上げが出来ていたのかが疑問ですね
結局VPAを追加するほどの致死的な神経損傷が起きている患者を選択出来ていなかった可能性はあるかもしれません
現状では大きく普段のプラクティスを変えるものにはならない印象ですかね
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