電解質異常の初期対応〜Na・K異常に挑む〜

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今回は電解質異常についての基本的な講義をしていきます。

頻度の多い疾患だと思いますので、緊急対応だけでも理解できるようにしましょう!

電解質異常は難しい

まず大前提として電解質異常ってとても難しいです。

理由としては超高頻度の低Na血症が極めて難しい事致死的なものが混ざっている事、そして意外とMgやP、Caといったものにも足元を掬われる事があるというところでしょうか。

今回は主にNaとKについてお話をしていきますが、他の電解質もとっても大事ですので決して軽んじないようにしてくださいね。

低Na血症

ちなみにこちらの画像はAI作成ですのでご安心ください。

さて、まずNaが異常と判断したらどうすれば良いでしょうか?

何よりも大事なのはまず症状があるか(症候性)です。

症候性であれば一気にギアを上げて介入しなければいけない場合もあります。

そしてもう一つは本当かどうか、つまり偽性ではないかという事です。

自分自身も救急で飛び込んできた患者が、いきなり痙攣し始めた時の血液ガスを見て「Na 110mg/dL」に飛びつき高張食塩水を入れたことがあります。

実は血糖が1000mg/dl…というオチで、高血糖が隠れていました。

高すぎて血ガスでエラーになっていたので、気付かずに見落としてしまいました。

ぜひ皆様は反面教師にして、必ず落ち着いた対応を心がけてください。

さて、では実際に本物っぽい低Na血症を見つけたらどんな手順が良いでしょうか。

まずは血清浸透圧を確認してみましょう。

これは先ほどの等張性や高張性といった偽性の低Na血症を探すことを目的としています。

やはり大きく診断や原因が異なってきますので、最初に考えることが重要です。

続いては細胞外液量を評価します。

低Na血症に限らずABCを管理する上で、正常体液量を目指すことは基本のキになります。

そして低Na血症に関して言えば、正常体液量を目指すことは結果として低Na血症の治療になることが多いです。

この図が秀逸なのですが、電解質異常の軸と体液量の軸を作ります。

そしてこれを重ね合わせてみると、、、

こんな綺麗な図ができます。

中央は電解質も体液も正常ということです。

そして、それぞれの体液量と電解質のバランスを追記すると以下のようになります。

こうしてみると、ややこしい電解質異常も左列はまず輸液負荷です。

体液量の是正に勝るものはありませんので、その結果を見ながら電解質は調整していくイメージでいます。

このように体液量とNa量のバランスを考えると大きな治療の方針を間違えにくくなるかと思います。

そして検査の鍵になるのは尿検査です。

やはりどれだけ排泄されているかが非常に大事になりますので。

しかし単回の検査では分かることは非常に限定的です。

ただなかなか蓄尿を待ってから介入するわけにもいきません。

そこで、特に自分が参考にしているのは尿比重と尿中Na+Kの値です。

図表の通りで尿比重でおおまかなトレンドは掴めますし、尿中NaとKからは今後の経過を予測することができます。

これだけは見ておく方が良いと言える、非常に重要なポイントかと考えます。

色々と言ってきましたが、正直言って電解質異常の中でも低Na血症についてはスライド作るのがストレスでした。

なぜかというと別格に難しく、自分自身もクリアには理解できていないところもあるからです。

ここは専門医の先生に厳密な管理は相談しつつ、最低限の必須介入は外さないことが重要かなと自分は考えています。

では必須の介入とはなんでしょうか?

簡単に言えば「誰もが異論の無い症候性の低Na血症については、必ず高張食塩水を使った介入ができること」かと思います。

もちろん施設によってかなりかなり差があるところですが、さすがにここに関しては大きくは意見別れない気がします。

あとは体液管理なども本来必須かと考えますが、なかなかそこまでは手が及んでいないことが多いですね。

ということで、3%食塩水の作り方です。

自分は初期研修医の頃に聞かれて全く答えられなかったのを今でも覚えています。

これは頭で考えても無理なので、さすがに覚えておくしか無いところですね。

よく10%を6A使うのが知られていますが、意外と「「取り寄せないと足りない!」」ってこともあります。

その場合は同じ比率になるように割り算して、生食を減らして対応すれば良さそうですね。

そして実際の使い方ですが、Δ5の上昇か120mEq/L以上のいずれか片方を目指します。

ですが、、、多くは過補正になります。

過補正になる理由は主に上の3つです。

一個目は仕方ないと思います。

飛び込んできて痙攣していれば、補正せざるを得ませんし。

それで上がり過ぎれば、逆補正(5%ブドウ糖)で下げに行くしかないでしょう。

他の2つも意外としばしば起きているように感じます。

ということで、自分はやんわり補正と頻回フォローを推奨しています。

というのも逆補正すると周りの医者からは失敗してるように見えますし、避けられるなら避けたいところです。

基本的にトレンドの改善が全てなので、ゆっくりでも改善傾向に持ち込めれば慌てずでも良いかと考えている形です。

高Na血症

続いて高Na血症についてです。

一応、こんなフローチャートが有名ですね。

ですがあんまり自分は見ていません。

というのも、圧倒的な頻度でシンプルな細胞外液量の減少があるからです。

もちろんOverlapして複合的な場合もありますが、この要素がゼロのことは見たことありません。

そして多くは原病があっての細胞外液量の減少です。

欠乏量や不感蒸泄の計算もありますが、これら計算しても概算にすぎません。

これするならトライアンドエラーで補正始める方が効率的なので、自分はいつからか計算しなくなりました。

暇ならやってもいいんですけど、結局は肌感覚で体液量を整えていけば勝手によくなりますので。

うまくいかない時には尿崩症とか、他の鑑別を挙げて対応しましょう。

低K血症

続いては低K血症です。

意外と見ますけど、致死的不整脈になる人から勝手に良くなる人まで幅が広い印象です。

なぜでしょうか??

まず大前提として、こちらも非常に原因が難しいです。

摂取不足は候補に上がりますが、あまり寄与しないと言われています。

なので腎排泄増加、腎外排泄増加、細胞内シフトの3つの観点から原因を絞っていきます。

それぞれ考えると、尿検査と病歴によるところがほとんどです。

経験的には突然やってきた患者の場合は大抵細胞内シフトの要素がある気がします。

そしてこの要素が大きいと、解除すれば一気に改善することも経験します。

特にSAHはそれでClinical Prediction Ruleを日本の病院が作ったことでも有名です。

SAHを頭部CTとらずに診察と血ガスのみで否定できないかという画期的な取り組みです。

結果としてはValidation研究で今一つであり、これをもって致命的な転帰をたどるSAHを否定するわけにはいかないので実臨床では使われることはありません。

(むしろ使っていたらきちんと頭部CTを撮った方が良いです。。。)

いずれにしてもそれだけカテコラミンサージによる低K血症は高頻度ということですね。

しかしこの鑑別を初療で行うのは非現実的ですし、自分もしていません。

とりあえずの補正の方法は知っておく必要がありますが、それで十分でしょう。

こちらは施設の薬剤部とルールを確認した上で適応ください。

施設によっては添付文書を超えてることもありますが、それはあくまで濃度です。

投与速度はどこも遵守している気がします。

濃いと間違えてフラッシュされた時が怖いですが、逆に言えばそのリスクだけですからね。

意外と点滴で追いつかない時は内服が活躍しますので、自施設の採用などは確認しておくことをお勧めします。

高K血症

最後は高K血症についてです。

高K血症は絶対値も大事ですが、意外と高くても平気な場合もあります。

何よりも大事なのは心電図変化があるかどうかです。

ここで異常が出ていれば、一気にギアを上げて対応します。

一応、ガイドラインを持ってきました。

英語なので日本語で補足説明しておきます。

流れはフローチャートの通りですが、いくつか気になる項目にコメントしています。

特にGI療法はよく使いますが、「低血糖が怖いからインスリンは4Uにしました」というプレゼンを聞きます。

気持ちは分かりますが、どうでしょうか。

今GI療法を選んでいる理由を思い出して欲しいですね。

インスリンを入れてKを下げることが目的のはずです。

低血糖を恐れてKが変わらなければ、本末転倒のはずです。

だったらその分だけグルコースを増やして入れれば良いですね。

日本だと20mlの採用が多いと思います。

自分はGGI療法なんて呼びますが、50%ブドウ糖40mlが不安なら60ml(30g相当)に増やしてしまえば良いだけです。

具体的な選択肢と特徴をまとめました。

現実的にはこの中で取捨選択することになるかと思います。

イオン化カルシウムの値にもよりますが、グルコン酸カルシウムとGIは多くの施設でルーチン投与かと思います。

炭酸水素ナトリウム(メイロン®️)は意見が別れますが、自分はAG非開大性の代謝性アシドーシスが絡むアシデミアを伴う高K血症なら入れちゃいます。

こちらは別記事「メイロンをいつ使うべきなのか」で書いていますので、参照ください。


さていかがだったでしょうか。

これらの対応は基本的ながらも、施設によってかなり幅があります。

それは医師の考え方もそうですし、病院の採用薬剤といった要素もあります。

ですが一般論としては参考にして頂ける内容かと思います。

ぜひご参照ください。

本日はこの辺で、ではでは。

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