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血液ガスの読み方 ~基本編~ | Dr.Azukii's Blog

血液ガスの読み方 ~基本編~

まとめ

今回は血液ガスの読み方について2回に分けてお話していこうと思います。

まず初回は基本的な血液ガスの使い方と読み方についてです。

順番に思考過程を話していきます。

血液ガスを採る判断をする

いつどのような患者において血液ガスを採れば良いでしょうか。

血液ガスは救急外来において心電図、エコーと並び三種の神器と言われます。

血液ガスを採るととても多くの情報が手に入るため、重症患者においては欠かせない検査です。

提出するタイミングは

・呼吸状態に異常がある場合

呼吸不全由来なのか、代償性の変化としての呼吸なのかが分かります。

・早期に結果が見たい場合

貧血、電解質異常(低Naや高K、Ca異常)、血糖などが速やかに評価できます。

・重症患者の場合

多くの重症患者において酸塩基平衡異常をきたしているため、提出することが好ましいでしょう。

乳酸値も非常に重要な情報になりますね。

しばしば血液ガスを提出すると、乳酸値の報告のみ受けることがあります。

これって正しいのでしょうか?

もちろん乳酸値も重要な項目の一つですが、それ以外の項目も含めて総合的な評価が出来るようになりましょう。

病歴や経過から酸塩基平衡を予測する

どんな検査介入も検査前確率なしでは語れません。

必ず病歴聴取や身体診察などを先行させて、どのような結果が想定されるかを考えて血液ガスの結果を確認しましょう。

闇雲に提出することが検査結果の見落としや判断ミスに繋がります。

もちろん超重症患者においては蘇生と同時並行で提出される血液ガスもありますので、丁寧に病歴から。。。というのは前例では不可能です。

ただそのような場合でも呼吸様式を含めた最低限の身体所見から、ある程度は結果を予測しておくことが重要と言えるでしょう。

アシデミアかアルカレミアかを確認する

まず血液ガスをみたら確認するのは「pH」になります。

これでアシデミアか正常かアルカレミアかを判断します。

さてここで質問ですが、pH 7.20とpH 7.60ってどっちが重症そうですか?

感覚的にはpH 7.20の方が嫌だなあ、って方が多いのではないでしょうか。

実はどちらも状態は悪いと言われています。

確かに一部は一過性の呼吸性アルカローシスによるアルカレミアの症例があるので、そちらの予後は良いとされていますがこれは例外だと考えましょう。

アルカレミアって軽視されがちですが、酸素乖離曲線の左方偏位もあり末梢酸素運搬が低下します。

また不整脈リスクや呼吸抑制といった害も知られていますので、決して安易に経過観察で済ませないようにしましょう。

代償性変化を確認する

pHを判断した後には、代償性変化を確認します。

まず言葉の定義ですがアシデミアやアルカレミアはpHのみで規定されます。

一方でこれらを構成する偏りのことをアシドーシス、アルカローシスと呼びます。

原則としてアシデミアがあるならアシドーシスをきたす原因が一次性のもので、それと逆に働くものが二次性の代償性変化となります。

代償は一次性変化を超えることは無いというのが大原則になります。

アニオンギャップ(AG)を計算する

続いてアニオンギャップ(AG)を計算しましょう。

生体において陽イオンと陰イオンの数は等しいとされています。

そのためこのAnionのgapが増えているということは、何か変なAnionが増えているということになります。

またその他の陰イオンの中でアルブミンの割合は高く、低アルブミンがある人というのはそのせいでAGが低く出されている可能性があります。

そのため補正してあげることが必要になりますね。

実際ICUの患者さんなどは大抵は低アルブミンがあり、補正AGが開大していることがほとんどです。

これもよく聞かれるのですが、代謝性アシドーシスが無ければAGの計算って不要でしょうか?

例えば今目の前に2人の患者がいるとしましょう。

Aさんはあまり辛そうなところもなくスマホをいじっています。

一方でBさんは汗をかいて見るからに辛そうです。

さてこの血液ガスはどちらの検体でしょうか??

正解は、、、どちらもでした!

意外に思われるかもしれませんが、この情報だけだと具合が悪いかの評価は出来ません。

何故なら代謝性アシドーシス+代謝性アルカローシスを合併している病態の場合には、見かけ上はCO2やHCO3-も正常になるからです。

このような異常はAGを計算してあげると容易に拾い上げることができます。

ルーチンの範疇としてAGまでは計算するようにしましょう。

AG開大があれば補正HCO3-を計算する

次にAG開大があった場合には補正HCO3-を計算します。

これによりAG開大がなかったと仮定して、実際のHCO3-がどれくらいか想定します。

この計算により代謝性アルカローシスやAG正常代謝性アシドーシスの合併を評価できます。

代償性変化があれば予測変化を確認し、さらに合併する異常についても確認する

そして代償性変化があった場合には予測変化の程度を確認します。

全てを覚える必要は全くなく、必要時に計算できれば十分でしょう。

慣れるとなんとなく「これは慢性か」と計算せずとも、雰囲気で分かるようになります。

参考程度に使えるmagic number 15を紹介します。

代謝性アシドーシスでHCO3-が10-40mEq/Lの時には予測PaCO2=HCO3-+15になるというものです。

あくまで参考程度になりますので、過剰な信頼は避けた方が無難かと思います。

酸塩基平衡には関係しない項目について確認する

そして今回は取り上げませんが、血液ガスは本当に奥深く色々な情報がまだまだ眠っています。

酸塩基平衡に関してもまだまだ掘り下げるところはありますし、他の見るべきデータもあります。

正直今回のレベルの理解でも十二分だと思いますが、興味のある方は次回にまとめますのでご参照ください。

本日はこの辺りで、ではでは。

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