今回はCQ4.急性血液浄化についてコメントしていこうと思います。

CQ4-1:敗血症に対して、PMX-DHPを行うか?
いわゆるエンドトキシン吸着を目的としたポリミキシンB固定化カラムを用いた直接血液灌流法(direct hemoperfusion with polymyxin B immobilized fiber column: PMX-DHP)は日本で開発されたものです。
一応敗血症性ショックに対して保険適応は通っていますが、議論の分かれるところです。
簡単にいうと臨床試験の結果での恩恵はほとんど無く、膜トラブル(回路閉塞、出血など)が多いにも関わらず極めて高額(約30万円/本)で費用対効果に見合わないという問題があります。
そもそもエンドトキシンを除去することは根本治療ではなく究極の対症療法です。
肯定派の人たちは「究極に状態が悪い人たちは、その対症療法で助かるかもしれない」という意見が多いですね。
それはそうかもしれませんし、使う人に言わせると「血圧は上がる」らしいです。
まあ、自分としては使うことは無いと思います。
それは山火事の鎮火に対して、下の方の火を少し消すだけのような行為に感じるからです。
焼け石(山?)に水、の感じがします。
一応、エンドトキシンの量が多すぎず少なすぎずの人たちに絞れば効果あるかも?という研究がまた走っているようですが、、、結果を待つのみですね。
CQ4-3:敗血症性AKIに対する腎代替療法では持続的治療を行うか?
ガイドラインではどちらでも構わないが、循環が不安定なら持続的治療を選択すると書かれています。
自分はカテコラミンが繋がっている時には持続(CRRT)で、そうでなくても懸念がある初回の時にはCRRTにすることが多かったです。
海外では圧倒的に間欠的治療(IRRT)が多いようですね。
こちらの過去記事も参照ください。
そして自分のプラクティスは間違っていたなあと最近感じました。
それはお金の問題です。
実はCRRTの膜(例えばヘモフィールSNV®︎)は1万円/本くらいするのに対して、IRRTの膜(例えばニプロのFB®︎)は1000円/本くらいらしいです。
費用はもうこの先は軽視できません。
急性期病院の経営も苦しくなる一方ですし、高額療養費制度の話も話題になっていますね。
医療経済にはこだわらなければいけないと思います。
その意味でも、先の血液吸着は自分は選びませんね。
CQ4-4:敗血症性AKIに対する腎代替療法において、血液浄化量の増加を行うか?
日本の保険適応量は10-15ml/kg/hで、国際的には20-25ml/kg/hで大きく差があります。
RRTの効果を期待したい際に、保険適応の量を超えて回している施設もあるかと思います。
しかし国際的な標準量以上には流石にしないことを推奨しています。
医療安全上は正直あまり問題にならないかと思います。
大事なのはコストですね。
保険診療なので患者負担は変わりませんが、病院負担が増えることになるでしょう。
もちろん救命のためと言われれば仕方ないかもですが、なるべく保険診療の範疇に留めたいですね。
あるいは24時間のカウントなので、午後から始めたなら国際的な設定にしても保険適応の範疇で済むかもしれません。
いろいろと工夫が必要そうです。
さて、いかがでしょうか。
なかなか掘り下げた方が良い項目も多いですね。
ぜひご意見あれば教えてください。
本日はこの辺で、ではでは。
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