「こういうことだったのか!! 一般医療者の生き残りの気道管理」を読んで

勉強関係

今回は「こういうことだったのか!! 一般医療者の生き残りの気道管理」を読んだ感想を書いていこうと思います。

こちらは以前に取り上げた「こういうことだったのか!! 一般医療者の生き残りの気管挿管」の姉妹本です。

個人的には気管挿管の方が特に響きましたが、こちらも素晴らしい一冊です。

これは研修医には必読になってくるかもしれませんね。

特に熱く推している「ふりきり法」が使えるようになると良いです!

こちらも出版社で見られるチャプターごとにコメントという形にしていきます。

CHAPTER 01  本書を読み進める前に

冒頭で他者を責める医者の話があります。

昔は多かったと言いますが、今も散見されますね…笑

何も産まない無益な行為なのでやめて欲しいですし、自分の下がやっていたら注意するようにしていこうと思います。

幸い自分より若い世代では流石に見かけませんが、、、世の中がどうかは分かりません。

CHAPTER 02  マスク換気不全への対応の整理と評価

いつもカプノグラムの波形まで意識していなかったので、勉強になりました。

多くの施設が挿管してからカプノグラムを付けていますが、確かに換気している時から確認できると良いですね!

自施設でも啓蒙していこうと思います。

CHAPTER 03  経口エアウェイ・経鼻エアウェイ

経鼻エアウェイはよく使いますが、経口エアウェイって実際には使ったこと無かったので面白かったです。

もちろん換気が基本ですので、本来は入れて換気してからというのが正しいのですが。

経鼻エアウェイ入れる時の小指によるブジーはいいですね!

イギリスの経鼻エアウェイには左右があり、日本では右が無難なことも知らなかったので勉強になりました。

そこまでこだわるかは悩ましいですが、知っておくことで損はないですね。

CHAPTER 04  用手的気道確保,そしてtriple airway maneuver

こちらも非常に大事ですね。

特に初学者でマスク換気うまく行ってない時はこれな気がします。

焦りからマスクを押し付けてしまい、気道が潰されてしまっているのです。

落ち着いて下顎を中心に持ち上げるイメージを持ってから、自分もだいぶ換気が上達したように感じます。

CHAPTER 05 マスクフィッティング

こちらでも書かれてますが、「マスクを密着」ではなく「下顎を持ち上げる」イメージですよね。

大抵の失敗はこれに尽きると思います。

胃管が入っている時の換気、いつも横着してましたが「無理やり法」素晴らしいですね。

全く発想になかったので、今後試してみたくなりました。

歯がなく頬がこけているときの換気ですが、自分はガーゼ入れるなんて技を教わりました。

ただ正直イマイチなんですよね…笑

こちらで書かれているlower lip mask ventilationの方が試してみたくなります。

CHAPTER 06  声門上器具 i-gel はおさえたい

救急医としては声門上器具ってDAMでしか使わないのですが、咽頭痛の訴えを減らすっていうのは言われてみると当たり前ですね。

i-gelや挿管チューブにリドカインゼリーを使わないというのは有名ですが、慣習的に出てくる施設はまだ多いと思います。

挿管チューブへの入れ替えも、裏技というかもはや表技になりつつありますが丁寧に書いてあります。

必要な場面は限られると思いますが、i-gelがフィットしていると安心してこれらにトライできますね。

「Stop and Think」と言いますが、挿管できなかったとしても手を止めて考える余裕を与えてくれるのが一番良いところです。

CHAPTER 07  BVM は本当に簡単なデバイスなのか?

BVMは便利で難易度が低いというイメージでしたが、非常に目から鱗の内容でした。

確かに使いやすい反面、換気できていないことに気が付きにくいというのは盲点ですね。

認識を改めるべきだと猛省しました。

換気せずに顔の近くに置くだけの光景は本当に色々なところで見かけます。

「補助換気が必要になったらやるため」という意図であれば良いですが(だったら顔の前に置く意味はありませんが)、分かっていない人がほとんどでしょう。

これらを見かけたらその都度でフィードバックする草の根運動が大事ですね。

CHAPTER 08  ジャクソンリースを使いこなそう

自分は肺コンプライアンスを感じられるので、ジャクソンリースが好きです。

ですが挿管されていれば良いですが、マスクフィッティングさせての換気は難易度が高いですね。

この時のコツは非常に参考になりました。

組み立てや細かなメカニズムについては難しかったので、繰り返し復習することにします。

CHAPTER 09  フロート式酸素流量計とダイアル式酸素流量計

CHAPTER 10  ふりきり法

これも度肝を抜かれました。

まさかあの嫌な音がするつまみを外すまで回すなんて。。。

考えたこともありませんでした。

理論がきちんとしている先生は、それをどう活用しようか考えられるので強いですね。

自分も昔うまく換気できなかったときにこれを知っていればよかったです。

CHAPTER 11  Preoxygenation

こちらの概念は最近ではだいぶ有名になってきましたね。

体位についてはここまで気にしていませんでした。

こちらは施設での理解が必要そうですが、姉妹書でも書かれているBUHEやHELPという体位をイメージすると良さそうです。

CHAPTER 12  Apneic oxygenation(無呼吸酸素化)

冒頭の人体実験は恐ろしすぎますね。。。

今後は絶対にできないと思いますので、今となっては非常に貴重な情報になりますが。

Apneic oxygenationだけで、ここまで酸素化が落ちないのは非常に驚きです。

最も救急での挿管などでは状況が大きく違いそうですが。

自分も挿管する時には鼻カニューラ15Lでやっていましたが、今後はふりきり法との併用も検討していこうと思います。

手札は多いに越したことはありませんからね。

CHAPTER 13  緊急外科的気道確保

こちらはかなり一部の医師に限られた内容になります。

総論的な内容から細かなデバイスについても記載がありよくまとまっています。

ミニトラックが無くなってしまったのは寂しいというのと、輪状甲状間膜穿刺が実用性無いと言うのは全くもって同意でした。

CHAPTER 14  フレッシュな気管切開孔から気管切開チューブが抜けたら

これは本当に怖いですね。

特に無理やり押し込もうとして、皮下で迷入した時とか最悪です。。。

その状態に立ち会った経験はあるのですが、地獄でした。。。

きちんと症例を共有して、対策をフローチャートにしておくべきかと思います。

コメディカルや若手医師は気切患者にすごい距離感があります。

見たことないものは対応できませんので。

そこをシステムでカバーする必要がありますね。

CHAPTER 15  頸部術後出血トラブルにどのように対処する?

自分はこのような症例には当たったことはありません。

ですが話を聞くにつけて怖い気持ちになります。

そしてその感情を抱くことと、座学でも良いので繰り返し頭に入れておくことが大事なのかと思います。


以上です。

こちらも素晴らしい本です。

ちょっと一般医療者をターゲットにするには内容が難しい点が、玉に瑕というくらいでしょうか。

後半の気切チューブ脱落対応については、別途記事に書いていますのでご参照ください。

本日はこの辺で、ではでは。

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