「SOFA●●点だから、この方は重症です!」というフレーズは本当に正しいのでしょうか?
〈本論文の一言まとめ〉
SOFA scoreは時代に必ずしも合っていないかも?
使う時には適切な使用にとどめるべきだが、簡便さや共通言語としての知名度は依然として魅力
という事で今回はCritical Careより、SOFA scoreについてのreviewです
Crit Care. 2023 Jan 13;27(1):15.
The Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) Score: has the time come for an update?
Rui Moreno, Andrew Rhodes, Lise Piquilloud, et al.
PMID: 36639780
昔から使われているSOFA scoreですが、敗血症関連のワーキンググループにより1994年に作られました
他にも重症度スコアがありますが、SOFAスコアは臓器障害の程度を客観視することが目的であり死亡率予測には使用できません
これは退院時の死亡リスクを評価するAcute Physiology and Chronic Health Evaluation (APACHE)やSimplified Acute Physiology Score (SAPS)との大きな違いになります
SOFAは他の臓器障害についても評価する必要がある、といった意見も出ていました
他にもビリルビン高値も肝機能障害ではなく溶血による場合もあります
あるいはビリルビン上昇は実臨床でもそうですが、少し時間差があり病勢を正確には反映していません
凝固についてもPT-INRやAPTT延長はあっても、血小板はまだ正常なことも経験します
また神経系も意識の評価は抽象的であり、薬剤なども大きく影響します
(なお本来SOFA scoreは鎮静なしでの評価が推奨です)
カテコラミンもドパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン以外にも使用します
ドパミンの使用も減っていますし、さらには機械的循環補助(Mechanical Circulatory Support;MCS)もありますね
あと乳酸についての情報も追加が検討されるだろうと
確かにその通りですが、Type Bの要素もあり必ずしも循環不全によるものとは限らないのが難しいところでしょうか
酸素化もPaO2を次第にSpO2評価に切り替えることが多くなり、SpO2/FiO2 ratioという考え方もあるようです
ただこちらもSpO2の修飾因子が大きいので注意は必要ですね
他にも腎臓なら腎代替療法(RRT)の適応が加味されてないのも注意です
また他の消化器、代謝、免疫などの評価項目を追加することも悩ましいのですが、そもそも作成時に消化器は簡便に使用できるというメリットが無くなるため除外された経緯があるようです
筆者らも言及していますが、SOFA scoreは重症患者の評価を簡便に客観的に行うことが出来る点で優れています
ただ診療形態の変化もあり、必ずしもスコアが重症度を反映しない症例も増えてきているのが実情です
おそらく的確に重症患者を拾い上げられなくなってきているので、特異度はそこそこだけど感度が下がってしまったスコアリングになるのでしょう
でも誰でも聞いたことのある有名なスコアなので、他科の先生とも共通言語で話せる点では便利ですね
決して古い知見を否定するのでなく、現在の臨床に合わせて使えると良いなと思わせてくれる論文でした
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