今日と明日でPro/Conテーマを扱ってみようと思います
内容はICUでの腎代替療法を集中治療医が管理すべきか、腎臓内科医が管理すべきかというものです
本日はProの立場、腎臓内科医が管理すべきという意見です
Kidney360. 2023 Jan 1;4(1):7-9.
Nephrologists Rather Than Intensivists Should Manage Kidney Replacement Therapy in the ICU: PRO
Paul M Palevsky, Ron Wald
PMID: 36700897
腎臓内科医としてはAKIやESRD患者を普段からみており、そのトレーニングの一環としてRRTの管理も行なっている
この議論は1970年代にまで遡り、Emil PaganiniがRRTの複雑さを本当に理解しているのは腎臓内科医だと主張し、一方でDavid Bihariは多臓器不全の重症患者は全体的な目線での管理が好ましくICUでの専門家による管理が必要であると主張しました
この議論は決着がつかず、今日まで続いています
そもそもRRTの開始や施行だけでなく、AKIの病因、鑑別などを広く考えることが腎臓内科医の強みである
そこから薬物投与や電解質、酸塩基平衡の管理に早期から注意を払うことで、RRTを回避できる可能性もあるだろう
また血液透析のみならず血液濾過や、透析回路、実施に伴う有害事象、血管アクセスなどについて最も理解しているのは腎臓内科医である
またRRT依存となった場合にICU退室してからフォローをするのも腎臓内科医になる
ただICUでのRRT管理が腎臓内科医が行なって当たり前とは思ってはいけない
患者の臨床的ニーズを理解し、単なる回診者にならないよう存在感を出す必要がある
患者ごとの新規の問題に応じて判断し、腎臓内科の専門知識の維持と一般的なICU管理の知識について最新の状態に保つ必要がある
場合によっては一部の腎臓内科医は集中治療のトレーニングを受けることを選択する場合もあるが、これはICUでのRRT管理の前提条件となるほどの要素ではない
またICUチームとの議論によって調整をすることは必要になる
腎臓内科医と救急集中治療医の論点はRRTの導入適応についてとVolume管理になる
定期的に救急集中治療医と腎臓内科医がラウンドすることで、患者のケアの目的を反映する方法でRRTが行えるようになる
RRT導入や管理は腎臓内科医のコアコンピテンシーであり、そこに価値を見出すことが腎臓内科医の義務だろう
面白い内容でした
腎臓内科医の介入が無ければ退室後管理含め、患者不利益になるのは間違いありません
しかしICU入室中の複雑な病態を腎臓内科医主導にすべきか、集中治療医主導にすべきかは大変難しいところですね
また明日のConの意見をみて、自分なりの意見をまとめてみようと思います
ではでは
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