今回は一般書の感想です。
ちょうどお盆の帰省の時に駅前のTSUTAYAに置いてあったので手に取って読んでみました。
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(スターツ出版文庫)
2016/7/28
汐見夏衛 (著)
親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった――。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒濤のラストは圧巻!
知らなかったのですが、原作は結構古くて去年度に映画化されたんですね。
それで書店で大きな扱いになっていたようでした。
予告編はこちらです。
以下、ネタバレになってしまいますので、まだご覧になっていない方はブラウザバックをお願い致します。
まず月並みですが「今の平和な日本に本当に感謝」ですね。
8月になると終戦記念日もあり戦争のことを思い出しますが、経験の無い自分たちにはどうしても他人事です。
ただ定期的にこういった文芸作品が出てくれることで、いかに凄惨で酷いものかを周知してくれるのは素晴らしいですね。
主人公の百合が意味もなく日常にイライラし、やり場のないエネルギーをどこにぶつけて良いのか分からず過ごす姿ってとても現実的でした。
今の世の中ってあまりに恵まれすぎてて、ありがたみ無いですからね。
そしてテンプレのタイムスリップして、最後に戻ってくるところまで大きくは予想できるストーリー構成でしたので驚かされる内容はあまり無かったです。
ただ戻ってきてから読むことが出来なかった彰からの手紙を記念館で目にする、ってのはオシャレな演出ですね。
印象的だったシーンはこれから特攻隊として命を投げ打とうとしている彰が空襲の中で動こうとする百合に向かい「命が一番だろ!」と声をかけるところです。
彰や当時の人たちも頭では分かっている人もいたでしょう。
ただ国家総動員と言われ、非国民扱いされてしまうことを恐れ、自ら死んでいく。
あまりにやるせないですね。
最後にいざ特攻するシーンでも、結局彰は敵兵に情が湧き自分から海へ飛び込んでしまった訳ですから。
なぜ未来ある若者が犬死にしなければいけないのでしょう。
昔夏に沖縄県を一人旅した際にひめゆりの塔へ行ったことを思い出しました。
その時、うまく言語化できないのですが、凄まじい迫力や怨念じみたものを感じ恐怖のあまり中にいられまんでした。
あんな恐怖感は人生で初めてでした。
外へすぐに出て灼熱の空気を感じ、呼吸を整えたのを覚えています。
また今回の映画予告編をみて知ったのですが、曲が素晴らしいですね。
福山雅治さんの曲で、紅白でも歌われたようです。
長崎出身の彼が歌うことで、また重みを感じます。
歌詞も完全に彰から百合へのメッセージで、切なくなりました。
まだまだ不安定な情勢の地域もありますが、どうか世界が平和であることを願いたいですね。
ひとまずは散っていったご先祖様たちに恥ずかしくないよう、自分は胸を張って生きていこうと思いました。
本日はこの辺で、ではでは。
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