今回はCQ2.抗菌薬治療についてコメントしていこうと思います。

CQ2-1:経験的抗菌薬を選択する上で、グラム染色検査は有用か?
正直、自分はしていません。
働く病院で近くに置いてあれば良いのですが、その設備が整っている病院は限られますよね。
一時期トライしていた頃は検査技師さんに聞いて、形態からどんな菌株かを想定できて楽しかったです。
太っちょなんで腸内細菌ですかね〜とか、このヒョロヒョロの感じは緑膿菌ですかね〜とか、話してました。
ただ今後はどんどんタスクシフトされていくので、グラム染色をする医者は減っていくのかと思います。
せめて若手が見た時にわかるように、自分が上の役職になる病院があれば環境整備してあげたいなあとは考えています。
CQ2-2:敗血症に対する経験的抗菌薬は、敗血症認知後1時間以内を目標に投与開始するか?
これが物議を醸した表現ですね。
もちろん細菌感染による敗血症なら早ければ早いに越したことはありません。
ただインフルエンザの食事摂取不良など、別に抗菌薬いらないのに!っていう病態にドカドカ広域抗菌薬が入れられるようになってしまいました。
きっかけはSSCG 2018の1hバンドルかと思いますが、ここの誤解が無いようにしたいですね。
もちろん輸液での管理が難しい敗血症性ショックであれば、早期に抗菌薬を入れるべきでしょう。
ただしそれも原因微生物を考える必要がありますね。
あまりにもとりあえずMEPM+VCMで満足している医者が多すぎると思っています。
CQ2-3:経験的抗菌薬はどのようにして選択するか?
ここがとても大事だと思います。
もちろん重症であれば経験的抗菌薬を入れざるを得ない場面はあります。
ただしとりあえず〇〇というのは品が無いですね。
例えば疫学的にFNは緑膿菌による死亡が多かったので、そこまでカバーする、とか。
海洋汚染でショックなのでビブリオカバーでMINO併用する、とか。
何かしらの根拠(想定する感染巣と起因菌)が欲しいところです。
逆にいうとMEPMでも外す菌はありますので、きちんとした思考過程が無いと失敗することもあり得ます。
CQ2-7:敗血症に対して、βラクタム系薬の持続投与または投与時間の延長を行うか?
自分はこちらは賛成派です。
それはガイドライン本文でも触れられていますが、特に特別な手技がいらないからです。
患者へのコストも変わらず、少し持続点滴の時間が長くなりますが、重症患者に限れば許容できる範疇では無いでしょうか。
持続投与とするかは注意が必要で、失活の問題があるようです。
なので自分は3時間とかの少し長めの投与にして、看護師に意図を伝えるようにしています。
CQ2-9:敗血症に対する抗菌薬治療において、培養結果に基づいたデエスカレーションを行うか?
こちらも自分は賛成です。
「エビデンスが無いから云々」っていう医療者に出会ったことがあります。
まあ確かに意外とエビデンスは乏しいですよね。
ただ薬剤耐性という意味でも、抗菌作用という観点からもあまりに当然のことすぎるので論外なのかと思ってました。
尊敬する上司からは「エビデンスだけにとらわれず、生理学的に正しいとされることをしなさい」と教わったことがあります。
本当にその通りで、エビデンスがあることなんてごく一部です。
多くは分かっていないことばかりなので、生理学的に正しいであろうことを進めていくしか無いのではと思います。
CQ2-10:経験的抗真菌薬が投与された敗血症において、β-Dグルカンを指標とした抗真菌薬の中止を行うか?
CQ2-11:敗血症に対する抗菌薬治療に置いて、プロカルシトニン(PCT)を指標とした抗菌薬治療の中止を行うか?
こちらは諸説あるところで、まとめて扱います。
自分はこれらのバイオマーカーを使用していません。
なぜならこれを正しく使える医療者がほとんどいないからです。
結局、これで早期に治療が中止にできることは見たことはなく、誰かの発する「まだ高いから」という言葉で余計に長く投与されることしかありません。
加えて高価ですし外注になることもあります。
正直、これで抗菌薬早期中止以外の議論をする救急医や集中治療医を見てると辛いです。
自分1人なら使うかも、しれませんが、、、使うケースほぼ無いですね。
そんな高価なもの出して、数日の抗菌薬投与が縮まるだけって恩恵少なすぎると思います。。。
だったら普通に臨床症状の改善を持って終了にすれば良いのでは?と感じてしまいます。
CRPくらいなら安価ですし、全体のトレンドをふんわり見るという意味で出すのはアリだと思います。
もちろんWBC/CRPが高いから云々は論外ですね。
さて、いかがでしょうか。
ちょっと今回は愚痴っぽくなってしまいました、ごめんなさい。
ぜひご意見あれば教えてください。
本日はこの辺で、ではでは。
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