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ARDSの定義とは? | Dr.Azukii's Blog

ARDSの定義とは?

論文関係

本日はCritical CareよりARDSの再定義についてです。

ARDSの定義って広く定められていますが、何だか曖昧な印象がありますね。

今回はそのあたりを扱った内容になっています。

Redefining ARDS: a paradigm shift

Jesús Villar, Tamas Szakmany, Giacomo Grasselli, et al.

Crit Care. 2023 Oct 31;27(1):416. 

〈本論文の一言まとめ〉

ARDSの定義を満たす=ARDSとするのは誤っていそう。

不適切な呼吸器設定でも基準は満たしてしまうので、基準や定義の再考も検討される。


【症例】

尿路感染症による敗血症性ショックおよび低酸素血症、そして呼吸努力による肺野透過性の低下をきたしている。患者はICUに移りHFNOを開始されたが、50L/minでもSpO2 90%に留まり呼吸努力も高いままだった。そのため気管挿管を行い、予測体重あたり7ml/kgのTVとしPEEP 12でみたところ、PaO2はFiO2 0.5で160mmHg(PFr 320)まで改善した。経過良好につき数日で抜管、退院となった。

では、この症例は「ARDS」なのか?

ベルリン定義に則れば、この患者はHFNO治療中にはmoderate/severe ARDSとして該当する。しかし挿管されてからはすぐに酸素化という意味で定義から外れた。このような速やかな改善は本来のARDSの概念に反している。

この症例は現在のARDS定義の問題点を明らかにしている。

まずPFrは呼吸器の設定によるところが大きい。

次に医師がPEEP 12未満の設定にしていれば、PFrが150以下のことが多い。

PFrが150以下ならば筋弛緩や腹臥位療法を考慮するだろう。一方でこれらの介入は合併症により、呼吸器離脱や抜管を遅らせる可能性もある。

PEEP titration前の初回の単回のPFrの値のみでベルリン定義に則りARDSの重症度を予測するのは疑問が残る。

以下に現在の定義についての問題点を挙げる。

ARDSとして表現される病態は1世紀以上前から指摘されていたが、最初に発表されたのは1967年であった。

臨床徴候には呼吸困難、低酸素血症、肺コンプライアンスの低下、心原性肺水腫を除外した後のレントゲンでのびまん性の肺胞障害が含まれていた。

最初の定義以降、多くの研究者が定義に疑問を投げかけていた。

ARDS診断時でPaO2とFiO2から肺胞構造の障害を予測するデータは無い一方で、標準的な呼吸器設定であればPaO2が肺障害と関連するデータはある。

ARDSで最も典型的な機序はDAD(diffuse alveolar damage)である。機序を2つの面から考える必要がある。1つは直接的な肺胞障害で、もう1つは全身の炎症反応による内皮細胞障害になる。

DADの初期は炎症と浮腫、無気肺や器質的な肺障害をきたす。最終的には血栓形成、肺の繊維化、血管新生をきたし、呼吸器や全身管理にも関わらずこのフェーズで死亡する。

多くの偽のARDS症例はDADをきたさずに呼吸不全をきたし、その中には体液過剰や両側肺水腫、両側無気肺などがある。

これらはベルリン定義を満たしてしまうが、予後は真のARDSよりも通常は良い。

ARDSの治療は支持的で、肺障害をこれ以上起こさないようにしつつ酸素化を担保することになる。鍵となるのは呼吸器管理とされていたが、最近では軽度の肺障害患者は挿管なしでみることもできると報告されている。

将来のARDS定義にPFrが入らないことは無いだろう。だがARDSクライテリアを満たす患者で、PEEP 10以上、FiO2 0.5以上で30分経過をみると、1/3以上がARDS基準を満たさなくなった報告もある。

不確かな指標のためSpO2/FiO2比を推奨する意見もあるが、SpO2も体温、pH、PaCO2、CO濃度などにより影響を受けてしまう。

以下にARDSの定義における改善点の可能性について挙げる。

今後、ARDSという単語はより注意をもって使われていくだろう。現在のARDSというフレームワークは再考されるべきと考えている。

またARDSにおける体液管理と昇圧薬管理は極めて鍵になり、研究対象としての優先度も高い。実臨床では機械学習より、総じて多くの輸液と少量の昇圧薬で管理されている事が多い。機械学習のように行うことで死亡率が減ったとする報告もある。

重要な点としてCO2と死腔(dead space:VD/VT)が、重症度に関連するかどうかである。VD/VTは換気に参加しないが、ARDSの定義には含まれていない。VD/VTの上昇は生存退院の可能性を低下させる報告がある。

VD/VTの概念は適正な肺胞換気という意味だけでなく、

肺胞の過伸展という意味でも有用である。

ARDSの治療を個別化し臨床医が意思決定することをベッドサイドで支援するツールは今のところ無い。

機械学習などを利用した、新たな臨床研究の結果が待たれるだろう。


いかがでしたでしょうか。

呼吸不全≒ARDSと表現されることを、しばしば経験しますが誤っています。

単なる無気肺だけでもARDSの基準は満たしてしまいますが、それをARDSと呼ぶのは違うと思います。

本文でも触れていますが、いわゆるDADパターンをとるような肺障害をきたす群をARDSとすべきでしょう。

この辺りは奥深く自分も勉強中ですので、また同様の論文を扱ってみようと思います。

本日はこの辺りで、ではでは。

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